Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
シンポジウム 消化器5 肝臓 エラスト エラストグラフィは何を見ている?

(S304)

超音波shear wave elastographyによる肝線維化診断と粘性の影響

Association between non-invasive assessment of liver fibrosis and dispersion using shear wave elastography

西村 貴士, 吉田 昌弘, 近藤 礼一郎, 會澤 信弘, 池田 直人, 矢野 博久, 廣田 誠一, 藤元 治朗, 西口 修平, 飯島 尋子

Takashi NISHIMURA, Masahiro YOSHIDA, Reiichirou KONDO, Nobuhiro AIZAWA, Naoto IKEDA, Hirohisa YANO, Seiichi HIROTA, Jiro FUJIMOTO, Shuhei NISHIGUCHI, Hiroko IIJIMA

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科, 3久留米大学病理学講座, 4兵庫医科大学病院病理部, 5兵庫医科大学肝胆膵外科

1Ultrasound imaging center, Hyogo College of Medicine, 2Department of Internal medicine, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College of Medicine, 3Department of Pathology, Kurume University School of Medicine, 4Division of Surgery Pathology, Hyogo College of Medicine, 5Department of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【背景】
超音波shear wave elastography(SWE)による非侵襲的肝線維化診断は,肝生検の代替検査となっている一方で,背景肝,肝炎症や浮腫,閉塞性黄疸,うっ血などの影響を受けることも知られている.これは生体組織が弾性だけではなく,粘性の性質ももっている粘弾性体であり,粘性の影響をうけることが理由の一つである.
これまで汎超音波機器での粘性の評価は困難であったが,shear waveの周波数分散性(dispersion)を利用した評価法が可能となった.Shear waveに含まれる各周波数での伝搬速度を求め,周波数と伝搬速度との相関図から出した傾き(dispersion slope;m/s/kHz)により,粘性に関連した値を定量評価できる.
【目的】
SWE(東芝キャノンメディカル)による非侵襲的肝線維化診断と粘性の影響についてdispersion slopeによる検討を行った.
【対象と方法】
対象は2017年3月から2017年9月までにSWEとdispersion slopeを測定した慢性肝疾患307例のうち肝生検を同日に施行した102例である.超音波診断装置はAplio i800/i900(東芝キャノンメディカル)を使用した.測定方法は,shear wave speed測定と同様に肝表から1~2cmにROIの上段を設定し,3回測定したROI内でdispersion slopeを2ヶ所測定,それら6回の平均値をdispersion slopeの測定値とした.
【結果】
年齢中央値69歳(22-82),男性/女性;42/60例,HBV/HCV/nonBnonC; 18/30/54例,F1/2/3/4; 53/24/18/7例,A0/1/2/3; 3/62/32/5例であった.F因子別dispersion solopeはF1/2/3/4; 8.67±4.76/8.61±4.08/10.3±6.08/22.3±14.6(m/s/kHz)であり,F1,F2とF4間に有意差を認めた(p<0.05).またA0/A1/A2/A3; 7.5±2.50/9.78±7.12/9.32±5.31/16.1±10.8(m/s/kHz)とA3はA0-3と比較して高い傾向にあった.Dispersion slopeと有意な相関関係にあったものはT-Bil, ALT, SWEであり,CAPとの相関関係は認められなかった.F因子ごとのA因子別dispersion slopeの検討ではA因子の進展とともにdispersion slopeも上昇傾向であった.
【考察】
Dispersion slopeはF因子,A因子の進展とともに上昇傾向であったが,F因子別での検討でもA因子の進展とともにdispersion slopeも上昇傾向であった.またT-BilやALTと有意な相関関係にあったことから炎症や黄疸の悪化とともにdispersion slopeが上昇する傾向であった.SWEによる肝線維化診断は粘弾性体である肝組織を測定,すなわち粘弾性に影響する因子すべてを含めた測定値であり,dispersion slopeを測定することで間接的に粘性の影響を予測することが可能である.
【結語】
超音波shear wave法による非侵襲的肝線維化診断は粘弾性に影響するすべての要素を加味した測定値であり,そのことが炎症や黄疸の影響をうける理由であると考えられ,dispersion slopeの測定はshear waveに影響する要因の解明の一躍を担っていると考えられた.