Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
シンポジウム 消化器1 肝臓 NASH NAFLDの診断と病期予測

(S286)

NAFLDの病理診断の動向

The trend of the pathological diagnosis of non-alcoholic fatty liver disease (NAFLD)

常山 幸一

Koichi TSUNEYAMA

徳島大学大学院医歯薬学研究部疾患病理学分野

Department of Pathology and Laboratory Medicine, Graduate School of Biomedical Sciences, Tokushima University

キーワード :

近年のウイルス肝炎治療薬の劇的な進歩により,今やC型肝炎は飲み薬で治る時代が到来した.以前は,病理医が日々の診断で対象とする非腫瘍性の肝生検はインターフェロン治療前のウイルス肝炎の病態評価がほとんどであったが,最近ではウイルス肝炎の肝生検数は激減しており,代わって非ウイルス性(非 B 非 C 型)の慢性,急性肝疾患の病理診断が主体となっている.なかでも,メタボリックシンドロームの肝臓での表現型とされる非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)や,その重篤型である非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis: NASH)は,メタボリックシンドローム患者の増加や疾患概念の浸透を受けて,わが国でも患者数が急増している.日本肝臓学会によってまとめられた肝がん白書(平成27年度)によれば,わが国におけるNAFLD 患者は約1,000万人で, そのうち200万人はNASHであると推定されている.
このような状況を受けて,NAFLD/NASHを疑って日々の病理診断に供される症例が増えてきている.従来のウイルス性慢性肝炎の病理学的評価は,activityとfibrosis(staging)をスコア化して行ってきた.肝炎ウイルスの存在が臨床的に確認されている場合,それ以外の病変はあまり考慮する必要はなく,自己免疫疾患や薬剤のoverlapについて確認する程度であった.しかしながら,臨床的にNAFLD/NASHが疑われていても,実際にその症例がNAFLD/NASHである確証はなく,非ウイルス性の肝疾患をきたすあらゆる病態(自己免疫疾患や薬剤など)が鑑別に挙がる.さらに,NAFLD/NASHであるならば,非進行性の単純性脂肪肝(simple steatosis)なのか,進行性・重篤型のNASHであるのかを区別することが求められる.NASHの総合的な評価には,BruntのNASH grade/stage分類Matteoni分類,およびNAFLD activity score(NAS)がよく用いられる.Bruntの分類やNASでは,steatosis(脂肪化)の面積やballooning(肝細胞風船状腫大)の程度,lobular inflammation(200倍視野における小葉の炎症の程度)の程度の評価が必要であり,Matteoni分類ではさらにMallory-Denk bodyの評価が求められる.また,線維化の評価の仕方も,ウイルス肝炎とは若干異なっている.
本講演では,まず,NAFLD/NASHに特徴的な病理所見について,免疫組織化学を含めた鑑別法を呈示する.次に,NAFLD/NASHの診断に注意すべきポイントを,実際の症例を紹介しながら示す.