英文誌(2004-)
特別プログラム・知を究める 消化器
シンポジウム 消化器1 肝臓 NASH NAFLDの診断と病期予測
(S286)
MRIによるNAFLDの診断
MR-based diagnosis of NAFLD
本杉 宇太郎
Utaroh MOTOSUGI
山梨大学医学部放射線医学講座
Radiology, University of Yamanashi
キーワード :
近年,様々な定量イメージングが発達しているがMRIはその代表である. MRI の信号は体内の水分子と脂肪分子のプロトン(水素原子)から得られるため 脂肪率を画像化することはMRI の 得意とするところと言える.水分子と脂肪分子のプロトンは互いに異なる回転周波数を持つため,MRIでは両者の信号を区別することができるためである.これは化学シフトを利用してプロトンの数(密度)に換算した脂肪率を測定する方法で,科学シフトによるプロトン密度脂肪率(chemical shift-encoded proton density fat fraction[CSE-PDFF])と呼ばれる.CSE-PDFFの測定精度は高く,脂肪率測定のGold standardとして用いることができると言われている.また,NAFLD診療において重要な肝線維化の指標については,MRエラストグラフィによる肝硬度測定が有用である.MRエラストグラフィは位相コントラスト法を応用したMRIによる弾性率測定法であり,現在までに臨床例における妥当性の検討が多く行われている.ここではCSE-PDFF とMRエラストグラフィの基本的事項を概説し,基礎的および臨床的検討が行われた最近の文献をレビューする.