Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 循環器
パネルディスカッション 循環器3 心臓超音波検査の最新技術:本当に必要なの?

(S267)

今はなくても困らない,でも,あったら便利

It's not necessary by now, but convenient if available.

山田 博胤, 西條 良仁, 楠瀬 賢也, 坂東 美佳, 鳥居 裕太, 平田 有紀奈, 天野 里江, 山尾 雅美, 西尾 進, 佐田 政隆

Hirotsugu YAMADA, Yoshihito SAIJO, Kenya KUSUNOSE, Mika BANDO, Yuta TORII, Yukina HIRATA, Rie AMANO, Masami YAMAO, Susumu NISHIO, Masataka SATA

1徳島大学大学院医歯薬学研究部地域循環器内科学, 2徳島大学病院循環器内科, 3徳島大学病院超音波センター

1Community Medicine for Cardiology, Tokushima University Graduate School of Biomedical Sciences, 2Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital, 3Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital

キーワード :

 ディスク法で左室心内膜のトレースをするとき,トラックボールがいうことを聞いてくれないことは多くの人が経験しているだろう.そんなとき,いつかの日かこの面倒な計測が自動でできるようになれば,と夢を見ていた.3次元心エコー図法で画像を記録して,ボタン一つで左室容積,駆出率が自動で解析できるようになったことは素晴らしい技術の進歩で,長年の夢がかなったといっても過言ではない.手間が省けて検査時間が短縮し,かつ正確な値が得られるなら,心エコー図検査を行うすべての人が使うはずである.しかし,現状がそうでないのはなぜなのか,考えられる理由を挙げる.
1)本機能が使える装置が高価である.3次元プローブ自体の価格が高い上に,3次元心エコー図自体,各社トップグレードのハイエンドマシーンでしか使用できない.3次元プローブがすべての超音波診断装置の標準装備とならなければ,多くの人が使える環境とならない.
2)解析が,エコーの画質に大きく依存する.断層図で心内膜がきれいに描出できない症例では,3次元エコー図を用いても内膜面の同定が困難であり,現ソフトウェアの能力を超える.
3)プローブのサイズ,音響レンズ(接地面)のサイズが大きい.2Dプローブと比べるプローブが大きく,扱いづらい.痩せた高齢者で肋間が凹んでいる場合などには撮り難い.
4)ソフトウェアの設定,たとえば境界閾値の設定を変えると,得られる容積が変わる.現在左室容積のゴールドスタンダードは心臓MRI法で計測された左室容積であるが,これは,これまで2断面ディスク法で出されていた左室容積と比べると少し大きい.どちらを基準にして境界閾値を決めればよいか,統一されていない.
5)2断面ディスク法を用いて計測された左室容積や駆出率には,膨大なエビデンスがある.この技術で新しく得ることができるようになった仮定のない左室容積と左室駆出率であるが,従来の指標を上回る臨床的有用性のエビデンスに乏しい.
 「本当に必要なの?」と聞かれたら,現状では「なくても困らない」でも「あったら便利」と答えるだろう.