Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 循環器
シンポジウム 循環器4 心不全診療における心臓超音波検査の活かし方

(S254)

Stage A心不全患者におけるストレイン法の役割

Role of Echocardiographic Strain Imaging for Patients with Stage A Heart Failure

田中 秀和

Hidekazu TANAKA

神戸大学大学院循環器内科学分野

Division of Cardiovascular Medicine, Department of Internal Medicine, Kobe University Graduate School of Medicine

キーワード :

心機能障害はないが,心不全発症の危険因子を有する場合は心不全のステージAに分類され,高血圧,糖尿病,メタボリックシンドローム,喫煙などを有する患者がこれに含まれる.ステージAは将来心不全を発症する最も早期の段階として捉えられており,この段階で,十分な対策が取られなければ,器質的な心臓疾患を発症し(ステージB),症候性,また難治性の心不全へと移行していく(ステージC,D).そのため,それぞれのステージで適切な治療を行うことが,病態の進行予防のためには重要であると考えられている.さらに,心不全は進行性の病態であるため,より早期での治療介入が望ましいと考えられている.しかしながら,ステージAの患者において,将来の心不全の発症ならびに構造的な心形態異常の出現を予測することは非常に困難である.よって,ステージAの段階での高血圧,糖尿病,メタボリックシンドローム,喫煙による,左室の潜在的な心筋障害を評価することが重要であると考えられるが,左室収縮能の一般的な指標である左室駆出率やE/AやE/e’などの左室拡張機能では限界がある.
Global Longitudinal Strain(GLS)は2次元スペックルトラッキング法を用いて,心尖部3断面の18セグメントのピークストレイン値の平均値として算出される.GLSは左室の微細な収縮力の変化を捉えられることが可能であり,心疾患の既往のない患者における,左室の潜在的な心筋障害を評価することができると報告されている.
本セッションでは,Stage Aに該当する糖尿病,高血圧症,肥満を対象に,GLSを用いたリスクの層別化に関して,自験例1-5を含めて概説する.

参考文献
1Mochizuki Y, Tanaka H et al. Cardiovasc Diabetol. 2015;14:37.
2Mochizuki Y, Tanaka H et al. Cardiovasc Diabetol. 2015;14:47.
3Mochizuki Y, Tanaka H et al. Circ J. 2016;80:1957-1964.
4Mochizuki Y, Tanaka H et al. Int J Cardiovasc Imaging. 2017;33:1905-1914.
5Suto M, Tanaka H, et al. Cardiovasc Diabetol.2017.16;145.