Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 循環器
シンポジウム 循環器2 心筋症の診断・治療における心臓超音波検査の活かし方

(S247)

肥大型心筋症に対する運動負荷心エコー図,運動負荷後の左室内閉塞の時間的変化

Exercise Stress Echocardiography in Hypertrophic Cardiomyopathy; Temporal Change of Left Ventricular Obstruction after Exercise

泉 佑樹, 時田 祐吉, 吉永 綾, 轟 崇弘, 萩原 かな子, 内山 沙央里, 井守 洋一, 高野 仁司, 本間 博, 清水 渉

Yu-Ki IZUMI, Yukichi TOKITA, Aya YOSHINAGA, Takahiro TODOROKI, Kanako HAGIWARA, Saori UCHIYAMA, Yoichi IMORI, Hitoshi TAKANO, Hiroshi HONMA, Wataru SHIMIZU

1日本医科大学付属病院循環器内科, 2日本医科大学千葉北総病院集中治療室

1Department of Cardiovascular Medicine, Nippon Medical School, 2Division of Cardiology, Nippon Medical School, Chiba Hokusoh Hospital

キーワード :

【背景と目的】
肥大型心筋症に対する運動負荷心エコー図は潜在的左室内閉塞を明らかにするが,左室内閉塞の負荷後の時間的変化については明らかでない.
【対象と方法】
2015年6月から2017年12月に当院で運動負荷心エコー図検査を施行した肥大型心筋症患者38例のうち,経皮的中隔心筋焼灼術施行後の11例,安静時左室内圧較差50mmHg以上の1例を除外した26例について検討した.運動負荷は半仰臥位自転車エルゴメーターを用いて25Wより開始し3分毎に25Wずつ負荷を増加させる段階的負荷を行った.負荷の各ステージおよび負荷終了後(Recovery)1分,3分,5分,7分で経胸壁心エコー図検査を施行し最大左室内圧較差を記録した.
【結果と考察】
患者背景は平均年齢62.9歳,女性が16例(61.5%),安静時左室内圧較差はMedian(interquartile range[IQR])9.5(6.8,19)mmHgであった.負荷量は75(50,100)W,負荷後の最大左室内圧較差は44(18,68)mmHgであった.15例(58%)において負荷後に30mmHg以上の左室内圧較差が誘発され,全例で安静時より圧較差が増大した.閉塞部位は左室流出路11例,中流部4例であった.30mmHg以上の左室内圧較差誘発例における左室内圧較差の負荷中の最大値およびRecoveryの各ステージの左室内圧較差の推移を比較したところ,左室内圧較差は安静時17(10,26),負荷中22(15,49),Recovery 1分55(46,66),3分43(36,84),5分36(24,71),7分29(21,58)mmHgであり,Recovery 1分および3分において負荷中と比して有意に高値であった(図).左室内圧較差の最大値は10例がRecovery 1分,5例がRecovery 3分における値であった.
【結論】
肥大型心筋症の潜在的左室内閉塞は運動負荷中より負荷後に増大する.左室内圧較差の最大値の評価には負荷直後だけでなくpeak outするまでの評価が重要である.