Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 循環器
シンポジウム 循環器2 心筋症の診断・治療における心臓超音波検査の活かし方

(S246)

Multimodalityで考えるDCMの予後層別化

Risk Stratification Using Multimodality in Patients with Dilated Cardiomyopathy

大西 哲存, 月城 泰栄, 川合 宏哉

Tetsuari ONISHI, Yasue TSUKISHIRO, Hiroya KAWAI

兵庫県立姫路循環器病センター循環器内科

Cardiology, Himeji Cardiovascular Center

キーワード :

【背景】
非虚血性拡張型心筋症(DCM)は病態の把握が難しく,診断・治療に難渋することが多い.また,予後は個々において多様であるため,その予測は困難である.そのため,適切なリスク層別化は臨床上重要であり,さらなる治療介入を行う指針になりうる.心臓MRIによる遅延造影(LGE)と心筋ストレイン指標はDCMの予後予測因子であると言われているが,これらを組み合わせたリスク評価は行われてこなかった.
【目的】
拡張型心筋症(DCM)においてLGEと心筋ストレイン指標を組み合わせた層別化が予後リスク評価に有用であるかを検討する.
【方法】
DCM 190例(62±14歳,男性126例,平均左室駆出率32%)を対象とし,心臓MRIによりLGEを評価し,心エコー図検査により従来指標と左室ストレイン解析を行った.予後評価ではエンドポイントを心不全死,心不全再入院と定義し,Cox比例ハザードモデルにより解析した.
【結果】
平均3.7年の観察期間中に44例がエンドポイントに至った.単変量解析による有意な予後規定因子を用いた多変量解析により,左室長軸ストレイン(GLS)とLGEがともに有意な規定因子であり,GLSの中央値-8.0%にて2群に分けた生存時間解析によりLGEの有無にかかわらず2群間に有意差を認めた.
【結論】
DCMにおいてLGEとGLSは独立予後規定因子であり,これら2指標によるリスク層別化は長期予後予測に有用である.