有田 武史

Takeshi ARITA

九州大学病院血液・腫瘍・心血管内科

Kyushu University Hospital Heart Center

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人工弁置換術後の合併症としては人工弁不全，人工弁感染，などがあるが，弁周囲逆流（PVL）は全体の10％程度に認められる．しかしながらそのほとんどは無症候性であり，逆にいえば正しく診断をされていない症例が多く存在する．PVLの心エコー診断は人工弁が引き起こすアーチファクトのために難しいことが多々ある．そのため説明のつかない溶血性貧血，右心負荷・心不全症状がある場合には積極的にPVLを疑い経食道心エコ―にて診断を確定させる必要がある．大動脈弁PVLは経食道心エコーにても診断が難しいことが時にある．いままではPVLの治療としては再手術しかなかったが，近年カテーテルによるPVL閉鎖術が施行されるようになっており，手術ハイリスクの症例については欧米のガイドラインでもクラス2として推奨されている．そのため経カテーテル治療を念頭に置いた評価が今後重要になってくると思われる．PVLの場所，形態，ここの重症度の評価を詳細にすることが治療を成功させるためには重要となってくる．そのためには心エコーのみならず心臓CTを付加的情報として用いることがある．心房中隔欠損や大動脈弁狭窄症などこれまでの構造的心疾患の治療は新しい治療法の台頭とともに画像診断も進化してきた．本講演ではPVLの新しい画像診断と治療法について今後の展望も踏まえて統括を述べることとする．
図（左）PVLの位置記載法　（右）3D経食道心エコーによるPVLの診断