Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 基礎
シンポジウム 基礎7 超音波医学におけるAI研究の現状と展望

(S233)

超音波検査におけるAI研究開発の現状:世界的現状と日本政府の取り組みについて

Perspectives of Artificial Intelligence Development in Ultrasonography: Global Status and the Japanese Government's Efforts

中田 典生

Norio NAKATA

東京慈恵会医科大学超音波応用開発研究部

Division of Ultrasound Device Development and Application, The Jikei Univsersity, School of Medicine

キーワード :

機械学習特にディープラーニング(DL)の近年の進歩は急速に進んでおり,特に画像診断への人工知能(AI)の応用が実用化に近づいている.例えば胸部単純X線写真やマンモグラフィーについては数年以内にAIによる読影支援が臨床的に実用化される可能性が高い.超音波検査(US)においてもhigh-impact journalに論文が掲載されるようになり,実用化手前の状態である.今回の発表では北米放射線学会(RSNA),世界超音波学会(WFUMB)などで口頭発表を行った筆者が,世界的な視点に立って,各研究施設・学術団体・米国食品医薬品局(FDA)などの海外政府機関の現状について,特に超音波検査に焦点をしぼって幅広く情報を収集して発表する.現在,乳腺超音波検査,腹部超音波検査などについて米国,欧州,中国,韓国などを中心にAIを使った診断検査支援システムの開発が進んでいる.これらの研究は盛んにおこなわれるようになり,その研究水準は臨床研究の段階に達している.特に米国放射線専門医会(ACR)とFDAなどが共同で実際のAI診断支援医療機器の研究開発および市場後フィードバックシステムの構築を進めている.実際にACRは,AI開発のためのフレームワーク構築とFDAとの連携構築はもちろん,AI診断支援医療機器が市場に出た後にその臨床的有用性や安全性を評価するセーフティーネットを保持するフレームワークも構築し,AIエコシステムといわれる循環型の開発を開始した.ACRはがBreast Imaging Reporting and Data System(BI—RADS)やProstate imaging reporting and data system(PI-RADS)など全身の各領域について作成しており,世界的に広く知られている.これらのシステムは超音波を含めて専門用語とその解釈,またその読影結果報告の標準化・データ集積・解析により検診精度の向上を目的として開発されている.ACRはこれらのシステムをAIと直結されて臨床に役立てるフレームワークも発表している.筆者はこれらをできるだけ詳細に発表をする.またDL特に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使った研究開発には,1000~数万枚を超える教師学習用超音波画像(答えと超音波画像のデータセット)が必要である.筆者は,これらのデータ収集に必要な技術的問題点や経済的問題点について言及し,今後の研究開発の参考になる知識も発表する.超音波検査については,CTやMRIなど他の画像診断装置と同様に,膨大な教師学習用データの収集をする際に,どのように教師データに必要なアノテーション付加やラベリングを超音波専門医や超音波検査士によって行うかが,時間的経済的負担という点で課題となる.これらの課題を解決するためには,単に研究施設の自助努力により解決するのではなく,多国籍グラントやファンドを使用した戦略的な研究開発が必要である.このような現状に対して,日本政府の取り組みとしては,厚生労働省は保健医療分野におけるAI活用推進懇談会を開催し,その報告書を公開した.この報告書にはUSについても言及されており,USについてもDLを積極的に活用して,機器の操作時に病変部位を示せるようになれば,医師の診断支援につながるとしている.また現在,日本政府によるAIを用いた画像診断支援装置の製品評価指標作成が進んでおり,PMDAによるAI画像診断支援装置の製品認可への取り組みが進んでいる.筆者は,これらの構成員・WG委員として特に超音波について解説する.