Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 基礎
シンポジウム 基礎6 高周波数超音波イメージングの現状と展開

(S230)

生体用超音波顕微鏡のための広帯域超音波デバイスの設計

A design of wideband ultrasonic device for ultrasonic microscopy for biological specimens

荒川 元孝, 金井 浩, 西條 芳文

Mototaka ARAKAWA, Hiroshi KANAI, Yoshifumi SAIJO

1東北大学大学院医工学研究科, 2東北大学工学研究科

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
100 MHz以上の高周波帯における超音波顕微鏡用の超音波デバイスとして,音響レンズ方式が用いられている.生体試料に適用する場合,試料の厚さが数μm程度と薄いため,入力信号にパルス幅2 nsのパルスを用い,周波数領域で解析を行うパルススペクトラム法が用いられる.振幅スペクトラムが極小または極大となる周波数とその周波数における位相を用いて音速と厚さを求めることから,超音波デバイスの帯域が広いこと(例えば,試料の厚さが5 μmで150 MHz以上)が望まれる.筆者らは,集束超音波デバイスを平面超音波デバイスと近似し,損失を計算することで,動作中心周波数を調整できることを示した[1].本報では,超音波デバイスの動作帯域に着目し,数値計算により,適切な超音波デバイスの設計法について検討を行った.
【方法】
 音響レンズは,材質をZ-cutサファイア,曲率半径0.5 mm,開口半60°とし,音響整合層は,材質をSiO2ガラス,厚さが4.98 μmとした.文献[1]に基づき,超音波トランスデューサの変換損失,音響整合層における透過損失,カプラ中での伝搬損失を数値計算し,それらの積を全損失とした.超音波トランスデューサをZnOとして,厚さを変えて数値計算を行った.
【結果】
 ZnOの膜厚がλ/2となる周波数(fλ/2)が200, 300, 400, 500, 600 MHzとなるときの損失の数値計算結果をFig.(a)に示す.また,動作中心周波数と6 dB帯域幅(○)および最小損失(△)の間の関係をFig.(b)に示す.この結果より,損失が最小となる場合(fλ/2 = 500 MHz)よりも周波数を下げること(fλ/2 = 300 MHz)により,最小損失の増加を3 dB程度に抑えながら,帯域幅を30 MHz以上広くすることが可能である.
【結論】
 超音波トランスデューサの厚さ,すなわち共振周波数を調整することにより,最少損失とそのときの周波数だけでなく,帯域幅をコントロールできることを示すことができた.今後,実験的に検討を行う予定である.
【参考文献】
[1]M. Arakawa et al., Ultrasonics, 84, 172(2018).