Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 基礎
シンポジウム 基礎3 未開拓領域

(S217)

Sonazoidを基盤とした分子標的気泡の開発と超音波分子イメージングへの応用

Development of molecular targeted-microbubbles based on Sonazoid and its application for ultrasound molecular imaging

大谷 健太郎

Kentaro OTANI

国立循環器病研究センター研究所再生医療部

Department of Regenerative Medicine and Tissue Engineering, National Cerebral and Cardiovascular Center Research Institute

キーワード :

超音波分子イメージングは,表面にペプチドやタンパクによる化学修飾を施した微小気泡(分子標的気泡)を生体内抗原(標的分子)に特異的に集積させることにより,標的分子の動態を非侵襲的に可視化する画像診断法である.モデル動物を用いた基礎研究においては数多くの分子標的気泡が利用可能であるが,臨床応用可能な分子標的気泡については未だ開発が遅れているのが現状である.現在,本邦ではSonazoid(第一三共)が肝腫瘤性病変および乳房腫瘤性病変の造影目的に臨床使用されており,Sonazoidの表面を簡便に化学修飾する技術が確立すれば,Sonazoidを基盤とした臨床応用可能な分子標的気泡を作製できる可能性がある.これまでに我々は,Sonazoidの殻の構成成分であるホスファチジルセリン(PS)を足場として使用することで,Sonazoidの表面を化学修飾できる可能性を見出してきた.また先般,インテグリンを発現する貪食細胞とPSを発現するアポトーシス細胞とを橋渡しする生体内タンパクLactadherinにてSonazoid表面を修飾することにより,Sonazoid表面にインテグリンと特異的に結合するRGD(Arg–Gly–Asp)配列を付与できる可能性を見出した.さらに,担癌マウスを用いた検討にて,Lactadherinによる表面修飾により,インテグリンαvβ3を発現する新生血管(がん血管)に対するSonazoidの分子標的性が有意に向上することを明らかにした.本発表では,我々のこれまでの基礎研究の結果を踏まえつつ,SonazoidあるいはLactadherin修飾Sonazoidを用いた超音波分子イメージングの将来展望について紹介したい.