Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 基礎
シンポジウム 基礎1 超音波照射による生体への影響と安全性

(S211)

超音波照射によるメダカ胚のプロテオーム解析

Proteomic analysis of developmental effect on medaka embryo exposed by ultrasound

池川 雅哉, 松本 恵李那, 吉田 憲司, 秋山 いわき, 廣瀬 まゆみ, 渡辺 好章

Masaya IKEGAWA, Erina MATSUMOTO, Kennji YOSHIDA, Iwaki AKIYAMA, Mayumi HIROSE, Koushou WATANABE

1同志社大学生命医科学部, 2千葉大学フロンティア医工学研究センター

1Faculty of Medical and Life Sciences, Doshisha University, 2Center for Fronitier Medical Enginering, Chiba University

キーワード :

【目的】
超音波は放射線等の他の方法に代えがたい非侵襲な方法として医療分野において広く普及している.近年,診断分野では装置機能や動作モードの多様化により音響出力は増加傾向にあり,治療分野では超音波の生体作用を積極的に利用する傾向にある.一方,超音波の生体への影響の安全域について個体レベルから組織や細胞レベルまでを対象に遺伝子やタンパク質の解析を用いて詳細に理解する必要がある.本研究は,超音波の生体影響の計測や,安全な照射条件の定量的評価についての方法を確立することを目標としている.
【対象と方法】
実験動物として,メダカを採用した.メダカ胚を対象に低周波領域の照射実験をし,キャビテーションの発生とメダカ胚損傷の関連性について検討を行った.超音波照射条件は,周波数30 kHzで音圧20 kPa,100 kPa,150 kPaと定め,非照射(Control)と合わせて4条件とした.また,メダカ胚は大きさ径1 mm,受精後4日目のものを用いた.メダカ全胚を対象とした遺伝子の発現変動解析を行い,変動幅の大きかった遺伝子群の機能について考察した.さらにタンパク質の網羅的解析であるプロテオームの変動に着目した.超音波照射の有無によってメダカ全胚から抽出したタンパク質の総体の変化を解析する目的でタンパク質複合体解析のための二次元電気泳動法を使用した.
【結論】
超音波照射量により変動するメダカ全胚のプロテオーム解析を行い,ある酵素タンパク質を同定した.本酵素の発現変化は, Western Blotting法により検証した.メダカ発生期における超音波照射は,本酵素の関連する代謝に影響を及ぼすことが示唆され,超音波の安全性,生体作用を考慮する上で重要な知見が得られた.