英文誌(2004-)
特別プログラム・知を究める 領域横断
パネルディスカッション 領域横断2 改めて問う携帯超音波の位置づけと問題点
(S206)
島では,ポケットエコーをこう使う!
We can do a lot by using pocket ultrasound machine in our island!
白石 吉彦
Yoshihiko SHIRAISHI
隠岐広域連合立隠岐島前病院内科・外科
internal medicine,surgical department, Okidozen Hospital
キーワード :
はじめに
隠岐島前病院(以下当院)は本土からフェリーで約2時間半の離島にあり,人口6,000人をカバーする唯一の入院施設である.1.5次救急の入院医療から在宅医療まで幅広く役割を担っている.16列のCTはあるが,MRIはない.常勤医師は総合診療医7名で当院と2つの公立診療所を運営している.7名の医師に対し,ポケットエコーも含めると15台の超音波診断装置(以下エコー)を有する.ハイエンドエコー2台,ポータブルエコー7台,ポケットエコー4台,やや古いエコー2台である.ポケットエコーはコニカミノルタSONIMAGE P3 2台,miruco1台,GE Vscan Extend 1台を有する.
検査技師は1名のため,生化学系検査などを担当しており,甲状腺,頸動脈,腹部などのスクリーニングエコー検査も常勤医師が行う.
現状
ポケットエコーに関して医師は,外来で胸水,腹水の有無,心不全チェック,膀胱容量などのチョイあてに使用していたが,現在はすべての外来診察室にポータブルエコーが備えてあり,ポケットエコーの使用頻度は減っている.病棟では電子カルテとともにポケットエコーをカートに載せて回診しており,前述したチョイあてエコーチェックに使用する.
往診にも携帯しており,前述したチョイあてに加え,膝の関節注射,肩峰下滑液包注射,肩甲上腕関節注射などに利用している.
病棟看護師はほぼ全員が,ポケットエコーを使用し,膀胱容量を計測する.当院では尿閉を疑った場合に看護師によるエコー検査なしでバルーンを挿入するという事は皆無である.それに加えて,訪問看護師は下大静脈の計測も行い,医師に報告し点滴治療の適応の参考にしている.
考察
このように当院ではポケットエコーを含めてエコーが大活躍であるが,初めから皆がフル活用していたわけではない.使いこなすための工夫を列挙する.
まずは使いたいときにそこに使えるエコーがあるかどうか.数が必要である.電源の持ちも重要である.
また,一つはいいエコーとの併用である.外来にある程度の画質のポータブルエコーを設置し,超音波診療を行う.エコー解剖,エコー画像に慣れることはポケットエコーを使うためには必須である.
看護師には定期的にポータブルエコーやポケットエコーを使って膀胱,下大静脈描出練習を行っている.
今後期待されることとしては,より簡便な計測やPACS・電子カルテへの添付である.画質は良いに越したことはないが,今後の技術革新と価格とのトレードオフであろう.