Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 領域横断
パネルディスカッション 領域横断1 Point-of-care USのプロトコルを考える

(S201)

気道超音波~PEAS protocol~

Perioperative Evaluation of the Airway via Sonography: The PEAS protocol

鈴木 昭広

Akihiro SUZUKI

東京慈恵会医科大学麻酔科学講座

Department of Anesthesiology, Jikei University School of Medicine

キーワード :

 近年の高周波リニア型プローブの台頭により,比較的近距離の構造物が容易に観察できるようになってきた.気道は内部に音響インピーダンスの極めて小さい空気を含有するため超音波の対象としてあまり認識されていなかったが,気道をとりまく構造物は容易に観察できる.筆者は麻酔・救急・ICUの従事経験から超音波による気道の描出に取り組んでおり,主に周術期管理に有用な描出テクニックをPEASプロトコールと位置づけてきた.
【PEASプロトコール】
1)気道長軸
 前頚部に探触子を矢状断であて,甲状軟骨,輪状甲状靱帯,輪状軟骨,気管輪と周囲の血管およぶ甲状腺などの構造を把握する.
2)気道短軸
 横断像で舌根ー舌骨ー甲状軟骨ー(声帯)ー輪状甲状靱帯ー気管輪ー頚部食道まで,周囲の構造とともに観察する.
3)胸膜観察
 前胸部でLung sliding,Lung pulseの有無を把握しておく
4)横隔膜観察
 側胸部のZone of appositionで横隔膜が頭尾側に移動するさまを把握しておく
5)胃前庭部観察
 仰臥位,右側臥位で観察し,胃内容の正常と量を判断する
これらの観察により
①緊急時の輪状甲状靱帯の穿刺・切開時の部位確認と安全な施行
②経皮気管切開のリスク判断と安全な実施
③マスク換気のよしあしの判断
④気管挿管チューブの位置確認(食道挿管事故の回避)
⑤緊急気道確保に際した誤嚥リスクの判断
などが行える.
特に,①,④は近年各種ガイドラインでも利用が推奨されており,急変対応スキルの一環として習得しておきたいテクニックである.