Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 領域横断
シンポジウム 領域横断5 メタボリックシンドローム関連疾患のマネージメントにおける超音波検査の役割

(S197)

各種脂肪組織厚とメタボリックシンドロームとの関連~超音波検査を用いた検討~

Association of Ultrasound Thickness of Various Adipose Tissues with Metabolic syndrome

平田 有紀奈, 山田 博胤, 楠瀬 賢也, 坂東 美佳, 西條 良仁, 瀬野 弘光, 西尾 進, 鳥居 裕太, 佐田 政隆

Yukina HIRATA, Hirotsugu YAMADA, Kenya KUSUNOSE, Mika BANDO, Yoshihito SAIJO, Hiromitsu SENO, Susumu NISHIO, Yuta TORII, Masataka SATA

1徳島大学病院超音波センター, 2徳島大学大学院医歯薬学研究部地域循環器内科学, 3徳島大学病院循環器内科

1Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, 2Department of Community Medicine for Cardiology, Tokushima University Graduate School of Medicine, 3Department of Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital

キーワード :

メタボリックシンドローム症候群あるいはその予備群の罹患者数は,毎年増加の一途を辿っており,それに伴う心血管疾患の合併症が患者の生活の質や生命予後を悪化させる重篤な要因となっている.合併症の発症予防と進行抑制のため,メタボリックシンドローム症候群への治療介入やリスクのコントロールが欠かせない.メタボリックシンドローム症候群の診断は,一般的にBody mass indexや腹囲を用いて評価することが多いが,肥満にも皮下脂肪型と内臓脂肪型が存在し,動脈硬化や心血管イベントとの関連が強いとされている内臓脂肪型かどうかの評価には十分でない.さらに,皮下脂肪,内臓脂肪の他に,第三の脂肪と称される異所性脂肪が心血管イベントと関連するという報告もされている.異所性脂肪とは,病理学的に内臓脂肪に近いとされており,皮下脂肪と比べて炎症性サイトカインの放出量が多く,隣接した臓器や血管に影響を及ぼすことが明らかとなってきた.なかでも心外膜下脂肪(EAT)は心臓周囲に存在する異所性内臓脂肪であり,過剰に蓄積したEATからは種々な炎症性サイトカインが放出され,隣接した冠動脈に作用し,冠動脈硬化進展に影響を与えることが報告されている.またこのような背景のもと,CT検査や超音波検査を用いて各腫脂肪量の評価が行われている.当院では,超音波検査を用いて,各脂肪厚の計測を行っている.皮下脂肪の指標として仰臥位で臍横の腹直筋直上の皮下脂肪厚を,内臓脂肪の指標としては,コンベックスプローブを用い,仰臥位でモリソン窩の脂肪厚をそれぞれ計測している.EATの指標として,我々は従来評価されている右室自由壁側のEAT厚だけではなく,高周波リニアプローブを用いた前室間溝EAT厚の計測方法を確立した.今回,冠動脈疾患の有無と各脂肪厚との関連について検討したので報告する.さらに,体重の減少や適度な運動などの生活習慣の是正によって各脂肪組織厚がどの程度軽減するかについても検討した.これらの検討を通じて,メタボリックシンドローム症候群患者における各脂肪厚計測の役割,特にEAT厚を評価することが,心血管疾患の合併症のリスク層別化にどのように貢献できるかについて考察したい.