英文誌(2004-)
頭頸部超音波ハンズオンセミナー
ハンズオンセミナー1(頸部)企画 耳鼻咽喉科・頭頚部超音波ハンズオンセミナー
(S704)
超音波診断に必要な頸部の解剖とその超音波像
門田 伸也
Nobuya MONDEN
四国がんセンター頭頚科
Shikoku Cancer Center
キーワード :
頸部における超音波検査は,安価で被爆がないことや造影剤の必要性がないこと,空間解像度が高いこと,動的な診断が容易なことなど,多くの利点を有する.一方で探触子の動きに合わせて連続的にこまかく画像が変化するので,特定部位の描出にとらわれすぎないことが大切である.
本稿は内・中・外胚葉由来のロール状構造を形成する頸部解剖の特徴を概説し,超音波診断における理解の一助とすることを目的とする.
頸部には中心に咽喉頭,気管,食道などがあり,その両外側に血管系,その後方に神経系が縦走し,さらに筋肉がそれらの構造物を幾重にも包んでいる.超音波検査上,これらの構造は高輝度の結合組織に包まれたいくつものコンパートメントに分かれて容易に描出されうる.したがって,常に頸部全体の構造をイメージしながらスクリーニングを行い,全体像を把握した後に,異常所見があれば改めてピンポイントで精査するように心がけるとよい.