Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 健診・その他
健診・その他

(S695)

縦横計測法を用いた内臓脂肪計測

Study of visceral fat area estimation using body thickness and width

藤原 洋子, 射谷 和徳, 三竹 毅, 篠原 通浩, 大木 洋美, 中川 徹, 小泉 憲裕, 窪田 直人, 佐久間 一郎, 門脇 孝

Yoko FUJIHARA, Kazunori ITANI, Tsuyoshi MITAKE, Michihiro SHINOHARA, Hiromi OOKI, Toru NAKAGAWA, Norihiro KOIZUMI, Naoto KUBOTA, Ichiro SAKUMA, Takashi KADOWAKI

1株式会社日立製作所ヘルスケアビジネスユニット, 2東京大学大学院工学研究科バイオエンジニアリング専攻, 3株式会社日立製作所日立健康管理センタ, 4東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科, 5東京大学大学院工学研究科バイオエンジニアリング専攻システム疾患生命学による先端医療技術開発拠点, 6東京大学医療福祉工学開発評価研究センター

1Healthcare Business Unit, Hitachi, Ltd., 2Department of Bioengineering, School of Engineering, University of Tokyo, 3Hitachi Health Care Center, Hitachi, Ltd., 4Department of Diabetes and Metabolic Diseases Graduate School of Medicine, University of Tokyo, 5Translational Systems Biology and Medicine Initiative, Department of Bioengineering, School of Engineering, University of Tokyo, 6Medical Device Development and Regulation Research Center, University of Tokyo

キーワード :

【背景】
内臓脂肪の蓄積は2型糖尿病や脂肪肝をはじめ,様々な疾患に影響があることが報告されている.BMIが正常であっても,内臓脂肪の蓄積があると死亡リスクが高くなるといった報告もある.また,内臓脂肪面積(以下VFA)が100cm2以上の場合にメタボリックシンドロームのリスク保持個数が多くなると報告されている.以上から,VFAの値を把握することは非常に重要であるとされている.
これまで我々は,超音波を用いて内臓脂肪面積の計測が可能であるかについて検討し,報告してきた.従来法は,皮下脂肪厚と皮膚表面から腹部大動脈までの距離計測を計測するが,肥満が進み,内臓脂肪,皮下脂肪ともに多く蓄積された場合においては腹部大動脈の撮像が困難であることも考えられた.そこで,肥満が進んだ被験者においてもVFA計測が可能である手法についてCT画像を用いて検討したので報告する.
【方法】
CT画像から,超音波で計測可能な値を用いてVFA推定式の作成を行い,推定されたVFAとCT法により算出された内臓脂肪面積(以下,CT-VFA)の比較を行った.更に,計測値と健康診断で得られるパラメータから重回帰解析を行い,作成した回帰式で算出された内臓脂肪面積(以下,VFAm)とCT-VFAの比較を行った.
対象として,2014年3月~12月に日立健康管理センタにてCT内臓脂肪検診を受診した206名の腹部CT画像を用いた.本研究は日立健康管理センタ,東京大学,株式会社日立製作所の倫理委員会の承認を得ている.
【結果】
腹部の縦厚,横幅の計測と超音波で皮下脂肪厚の計測を行うことでVFAを推定する式の作成を行った.VFAとCT-VFAの相関係数はR=0.81と非常に良好であった.更に,健康診断で得られるパラメータも含めて作成した重回帰式で算出されるVFAmとCT-VFAの相関はR=0.88と更に高い相関を得ることができた(Fig.1).
【考察・結論】
肥満が進んだ症例に対しても超音波を用いて計測可能な内臓脂肪計測手法の検討をおこなった.腹部の縦厚,横幅の計測と超音波で皮下脂肪の厚を計測することでVFAを推定できる見込みを得た.今後,超音波診断装置を用いてVFAを推定し,CT-VFAとの比較を行う.
【謝辞】
本研究は,東京大学の光石衛先生,湯橋一仁先生,月原弘之先生,王君臣先生,自治医科大学の浅野岳晴先生のご協力をいただき,文部科学省科学技術振興調整費「システム疾患生命科学による先端医療技術開発拠点(TSBMI)」による支援を受け行われた.