Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 血管
血管

(S689)

腹部大動脈ステントグラフト内挿術後に瘤破裂をきたした症例におけるエンドリーク評価

Assessment of Endoleak in Patients with Chronic Rupture of Abdominal Aortic Aneurysm after Endovascular Aneurysm Repair

加藤 雅也, 原田 和歌子, 永井 道明, 香川 英介, 中野 良規, 小田 登, 佐々木 正太, 土手 慶五, 荒川 三和, 片山 暁

Masaya KATO, Wakako HARADA, Michiaki NAGAI, Eisuke KAGAWA, Yoshinori NAKANO, Noboru ODA, Shota SASAKI, Keigo DOTE, Miwa ARAKAWA, Akira KATAYAMA

1広島市立安佐市民病院循環器内科, 2広島市立安佐市民病院総合診療科, 3広島市立安佐市民病院心臓血管外科

1Department of Cardiology, Hiroshima City Asa Hospital, 2Department of General Medicine, Hiroshima City Asa Hospital, 3Department of Cardiovascular Surgery, Hiroshima City Asa Hospital

キーワード :

腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)は高齢者やハイリスク患者でも低侵襲に行うことのできる有用な治療法であるが,術後のエンドリークが瘤拡大や破裂をもたらすことが問題となる.エンドリークは一般には造影CT検査で評価されるが,高齢で慢性腎障害(CKD)がある患者には頻回の造影剤使用が困難なため,超音波検査による評価の有用性が報告されている.われわれはEVAR後に瘤破裂を認めた高齢患者にてCT検査および超音波検査によるエンドリーク評価を行ったので報告する.
症例は89歳女性.近医にて腹部の拍動性腫瘤を指摘され,超音波検査で腹部大動脈瘤と診断された.高齢だが最大短径71mmの巨大瘤で破裂の危険性が高いことから手術を希望し,当院を紹介されて受診した.筋肉量の少ない小柄な高齢女性で,開腹術よりもEVARが妥当と判断し施行した.総腸骨動脈の屈曲が強く,メインボディはEndurant,脚はExcluderステントグラフトを内挿した.術直後はType4エンドリークのみ認め,CKDがあるため単純CT検査による瘤径のフォローのみ行っていたが,術後1年時に瘤径の拡大を認めた.術後1年2か月後に嘔吐を伴う腹痛が出現し,救急外来を受診した.CT検査にて動脈瘤破裂を認め,造影にて腰動脈からのType2エンドリークを認めた.血管造影にて左右腸腰動脈から瘤内への血流を認め,塞栓術を試みたが,強い血管の蛇行からNidusに到達できず,Nidus手前にジェルパートを注入して終了した.腹痛は軽快し再破裂なく経過したためいったん退院したが,その後もCTにて瘤拡大がみられ,超音波検査にて瘤内のNidusへ腰動脈からの流入血流を認めたため,再度塞栓術を行った.2度目はNidusへ到達したため,コイル留置およびNBCA注入にて塞栓術を施行した.術後のCTでは明らかな造影効果を認めないが,超音波検査にてNidusへのわずかな血流を認めたため,現在も注意深くエコーフォローを行っている.
EVAR後のエンドリークは瘤破裂の原因となり,注意深いフォローが必要となるが,高齢者ではCKD合併などから頻回の造影剤使用は困難である.超音波検査は低侵襲で詳細な血流評価が可能なことから,EVAR後の瘤径やエンドリーク評価は造影CT検査よりも超音波検査を優先させるべきと考える.