Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 血管
血管

(S688)

TEVAR術後のエンドリーク評価に背部アプローチによるエコー検査が有用だった一例

Utility of echocardiographic paravertebral approach for evaluation of endoleak after thoracic endovascular aortic repair: a case report

工藤 朋子, 湯田 聡, 山口 翔子, 男澤 千啓, 氏平 功祐, 佐々木 俊輔, 丸山 隆史, 栗本 義彦, 廣上 貢

Tomoko KUDO, Satoshi YUDA, Shoko YAMAGUCHI, Chiharu OTOKOZAWA, Kousuke UJIHIRA, Shunsuke SASAKI, Ryushi MARUYAMA, Yoshihiko KURIMOTO, Mitsugu HIROKAMI

1手稲渓仁会病院臨床検査部, 2手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科, 3手稲渓仁会病院心臓血管センター心臓血管外科

1Department of Clinical Laboratory Medicine, Teine Keijinkai Hospital, 2Division of Cardiology, Teine Keijinkai Hospital, 3Division of Cardiovascular Surgery, Teine Keijinkai Hospital

キーワード :

【背景】
Thoracic endovascular aortic repair(TEVAR)術後のエンドリークは,3~19%程度の頻度で生じるとされ,そのタイプ分類は術後の治療方針決定に重要である.TEVAR術後のエンドリーク評価は,通常造影CTで行なわれるが,タイプ分類は必ずしも容易ではない.当院では2008年より背部アプローチによるエコー検査で遠位弓部から下行の大動脈解離や大動脈瘤の評価を行ってきた.今回,TEVAR術後のエンドリークを,背部アプローチのエコー検査にて評価しえた症例を経験したので報告する.
【症例】
70歳代,男性.2014年7月大動脈解離(遠位弓部をエントリーとし,腎動脈下まで解離:偽腔開存型Stanford B型)を発症,前医にて保存的に経過観察を行っていた.2016年9月末より心窩部痛を自覚し,10月初めに前医を受診.造影CTでは心窩部痛出現前の3週間前に比べ,解離性大動脈瘤は32×44mmから43×50mmへ拡大を認め,大動脈瘤周囲に浸出液を伴ったことより切迫破裂疑いにて当院搬入となった.入院後ICUにて降圧管理となり,入院第5病日に左鎖骨下動脈末梢から3cmに位置するエントリー閉鎖目的に,RelayPlusを用いてステントグラフト内挿術を実施した.術中DSAにて下行大動脈の造影消失が得られた.第7病日の造影CTでは,遠位弓部のエントリーは閉鎖していたが,下行大動脈偽腔内に一部造影効果を認めた.流入部位の同定およびエンドリークのタイプ分類が困難であったため,背部アプローチによるエコー検査を施行した.
エコー検査では,遠位弓部で偽腔内に肋間動脈より流入するtype IIのエンドリークを認めた.第12病日の造影CTで横隔膜レベルでの大動脈瘤径の縮小を認め,術後経過良好にて第16病日に退院となった.
【考察】
背部アプローチによるエコー検査により,TEVAR術後のエンドリークの評価が可能であった.ドプラ法を用いることで,エンドリークの血流方向や流速は,造影CTより詳細に評価が可能と考えられた.背部アプローチによるエコー検査は,造影CTにてTEVAR術後のエンドリークが疑われる例に対し,試みる価値があると思われた.
【結語】
背部アプローチによるエコー検査がTEVAR術後のエンドリークのタイプ分類に有用であった一例を経験した.