Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 血管
血管

(S688)

腹部超音波検査にて新たに発見された腹部大動脈・腸骨動脈瘤症例の検討

Abdominal aortic and iliac aneurysms newly diagnosed during abdominal ultrasound examination

柚木 靖弘, 正木 久男, 田村 太志, 田淵 篤, 種本 和雄, 今村 祐志, 眞部 紀明, 谷口 真由美, 竹之内 陽子, 畠 二郎

Yasuhiro YUNOKI, Hisao MASAKI, Taishi TAMURA, Atsushi TABUCHI, Kazuo TANEMOTO, Hiroshi IMAMURA, Noriaki MANABE, Mayumi TANIGUCHI, Yoko TAKENOUCHI, Jiro HATA

1川崎医科大学心臓血管外科, 2川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波), 3川崎医科大学附属病院中央検査部

1Department of Cardiovascular Surgery, Kawasaki Medical School, 2Division of Endoscopy and Ultrasound, Department of Clinical Pathology and Laboratory Medicine, Kawasaki Medical School, 3Department of Clinical Laboratory, Kawasaki Medical School Hospital

キーワード :

現在の医療現場において超音波検査は必要不可欠な診断方法である.ベットサイドにおいても日常一般的に行うことが可能で,放射線被曝がないなど多くの有用性がある反面,患者の体型や腸管ガスの存在などによって死角となる部位があること,検査施行者の技術・能力・知識など患者以外の因子によっても大きく左右される問題点も指摘されている.また,検査結果の報告書を受け取る臨床担当医側が検査結果を十分いかしきれないという問題点もある.当科でも腎の腫瘤性病変が疑われる患者にscreening目的で施行した腹部超音波検査において両側総腸骨動脈瘤が指摘されているにも関わらず,その検査結果が生かされず,数年後他目的で施行されたCT検査で再発見される症例なども経験している.
今回,当院超音波検査室で施行された腹部超音波検査で初めて発見された血管疾患をretrospectiveに検討を行い,超音波検査の有効性と問題点について検討を行った.
2010年1月1日から2015年12月31日までに当院超音波検査室で施行した腹部超音波62381検査(29062症例)によって初めて発見された血管疾患は,腹部大動脈・腸骨動脈の動脈瘤病変が286例,脾動脈瘤が15例,腎動脈瘤が5例,腹腔動脈瘤2例,肝動脈瘤が1例であった.このうち今回は,腹部大動脈・腸骨動脈の動脈瘤病変に関して検討を行った.基本的に腹部大動脈瘤は3cm以上,腸骨動脈瘤は2cm以上を動脈瘤と診断した.
腹部大動脈・腸骨動脈の動脈瘤286例(年齢47-97歳,平均76.3歳)のうち,244例がscreening目的,42例が他疾患のfollow-up目的の検査であった,精査の結果44例で動脈瘤の手術を施行した.一方,動脈瘤そのものは手術適応であるにもかかわらず全身状態から手術対象とならない症例の他,動脈瘤を指摘した検査結果が生かされていない可能性のある症例も認められた.そこで,後半の2年間の65症例のうち動脈瘤手術を施行していない57症例を担当医に連絡を取り,そのうち2症例で手術適応の可能性があると判断し,精査を予定している.
また,超音波検査室と相談して,今後腹部超音波検査で血管疾患が新たに発見された場合には電子カルテのメッセージ機能を利用して当科に連絡をうけ,臨床担当医と協力して診療にあたることとした.この取り組みに関しても併せて報告する.