Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 腎泌尿器
腎泌尿器

(S685)

限局性前立腺癌に対する高密度焦点式超音波療法を用いた癌局所療法

Focal therapy with high-intensity focused ultrasound for the localized prostate cancer

小路 直

Sunao SHOJI

東海大学医学部付属八王子病院泌尿器科

Department of Urology, Tokai University Hachioji Hospital

キーワード :

【目的】
限局性前立腺癌に対する高密度焦点式超音波療法(high-intensity focused ultrasound, HIFU)を用いた癌局所療法(focal therapy)の臨床成績について報告すること.
【対象】
血清PSA値が20ng/ml以下で,BioJetを用いたMRI-TRUS融合画像ガイド下生検により癌局在診断が行われた症例のうち,初回治療として,HIFUを用いた癌局所療法を施行した症例.
【方法】
治療には,Sonablate500(SonaCare Medical, Indianapolis, IN, USA)を使用し,治療領域は,癌局在診断に基づき,治療計画時の経直腸的超音波画像上で尿道,transition zone,peripheral zoneをメルクマールにした癌局在区域とした.治療による組織変化モニタリングには,経直腸的超音波画像上のポップコーン現象,およびTCM(tissue change monitoring)システムを用いて,治療中に評価し,収束超音波エネルギーを適宜調節した.治療効果は,術後造影MRIおよび血清PSA値の測定により評価し,侵襲性は,術前と治療後の排尿機能および性機能の変化を用いて評価した.
【結果】
対象は15症例.年齢中央値は67歳,PSA中央値は7.8ng/ml,Gleason scoreは3+3が9例,3+4が4例,4+3が2例,低リスク群は9例,中リスク群が6例であった.治療時間中央値は32分間であった.治療区域は,造影MRIにより血流消失が確認され,血流の残存は認められなかった.13例(87%)が,24時間以内にFoleyカテーテルが抜去可能であった.治療後3カ月目(n=10)の血清PSA値中央値は1.2ng/mlであった.治療前および2週間後において,IPSS(p=0.6),QOL index(p=0.6),OABSS(p=0.5),最大尿流率(p=0.4),残尿量(p=0.5),およびIIEF-5(p=0.4)に有意差は認められなかった.合併症として,尿路感染症(Grade 2)が2例(13%)で認められたが,尿失禁は認められなかった.
【考察】
限局性前立腺癌に対するHIFUを用いた癌局所療法は,標的を正確に,有効に,低侵襲に治療できる可能性が示唆された.