Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 腎泌尿器
腎泌尿器

(S684)

超音波検査で指摘し得た小児尿管ポリープの2症例

Diagnosis of ureteral polyp in childhood by ultrasonography:Report of two cases

藤下 真澄, 濱野 敦, 木本 知沙, 中村 佐織, 鈴木 昇, 小山 雅司

Masumi FUJISHITA, Atusi HAMANO, Chisa KIMOTO, Saori NAKAMURA, Noboru SUZUKI, Masasi KOYAMA

1地方独立行政法人静岡県立こども病院臨床検査科, 2地方独立行政法人静岡県立こども病院泌尿器科, 3岡崎市民病院放射線科, 4地方独立行政法人静岡県立こども病院放射線科

1Clinical laboratory department, Shizuoka Children's Hospital, 2The urology department, Shizuoka Children's Hospital, 3The department of radiology, Okazaki City Hospital, 4The department of radiology, Shizuoka Children's Hospital

キーワード :

【はじめに】
尿管ポリープは上部尿管に多く見られること・ポリープが尿管を閉塞することによる側腹部痛や血尿が間漱的に繰り返されることなどが特徴といわれている.小児に発生する尿管ポリープは成人に比べ比較的まれな疾患であり,男児で多く,左側の腎盂尿管移行部に多いとされている.報告されているものは超音波検査で水腎症を指摘され,精査として行われる逆行性腎盂造影で指摘される症例がほとんどでCTやMRIでの報告症例も少ない.今回我々は超音波検査で指摘することができた尿管ポリープの症例2例を経験したので報告する.
【症例1】
6歳男児.腹痛と肉眼的血尿を主訴に前医受診.腹部超音波検査で左水腎症を指摘され紹介受診となる.来院時の尿検査では潜血反応陰性であった.当院で施行された初見の腹部超音波検査で腎盂尿管移行部にポリープ様構造を認めた.精査のためにMRIが予定されていたが,4日後自制できない疼痛を訴え救急外来受診.逆行性腎盂造影が施行され多発するポリープを認めた.尿管ステント留置され1ヶ月後に摘出術が行われた.病理結果はfibroepitheal polypであった.
【症例2】
11歳男児.1年前より腰背部痛と血尿を年に数回認めており前医受診.腹部超音波検査で左水腎症を指摘され尿管結石疑いで紹介となる.来院時の尿検査では潜血反応陰性であった.当院で施行された初見の腹部超音波検査で腎盂尿管移行部に音響陰影を伴わない隆起性病変を認めた.尿管の蠕動により位置が変化しないことでポリープが疑われた.
【結語】
初見の超音波検査で尿管ポリープを指摘されることはほとんど報告がない.今回我々は症状から積極的に尿管ポリープを疑いその存在を指摘することが可能であった.小児でも間欠性腹痛および血尿を認める男児において,超音波検査にて左水腎症を認めた場合は,積極的に本疾患を疑い体位変換や高周波プロ-ブを使用し腎盂尿管移行部を念入りに観察することが必要と思われた.