Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
婦人科疾患

(S680)

超音波検査により内膜症性嚢胞と誤認していたOHVIRA症候群に伴う腟留血腫の1例

A case of mistaking hematocolpos in OHVIRA syndrome for endometrial cyst by sonography

嶋田 浩志, 鹿内 智史, 真里谷 奨, 水内 将人, 馬場 剛, 石岡 伸一, 齋藤 豪

Hiroshi SHIMADA, Satoshi SHIKANAI, Tasuku MARIYA, Masahito MIZUUCHI, Tsuyoshi BABA, Shiniti ISHIOKA, Tsuyoshi SAITO

1北海道社会事業協会帯広病院産婦人科, 2札幌医科大学附属病院産婦人科

1Obstetrics and Gynecology, Hokkaido Shakaijigyokyokai Obihiro Hospital, 2Obstetrics and Gynecology, Sapporo Medical University Hospital

キーワード :

【緒言】
子宮奇形に片側腟閉鎖,片側腎形態異常を伴うものをObstructed Hemivagina and Ipsilateral Renal Anomaly(OHVIRA)症候群という.片側腟閉鎖腔に貯留する月経血による周期的下腹部痛や月経困難症状による症状が主なものであるが,特異的な症状はない.子宮内膜症や骨盤内癒着,不妊症を惹起する可能性があり,早期発見・早期治療が望まれる.今回我々は,腟閉鎖内腔に貯留していた血腫超音波像を内膜症性嚢胞と誤認,MRI検査によりOHVIRA症候群の診断に至った症例を経験した.
【症例】
症例は23歳,1経妊1経産.自然妊娠成立後,前医で妊娠25週に原因不明の死産となっていた既往あり.月経周期は28日型で整.前医で左卵巣腫瘍を指摘され,経過観察となっていた.前児を妊娠25週で死産後,続発性不妊を主訴に当院初診となった.子宮頸部左外側にφ22×28mmの内部均一な点状エコー像を認め,同部位に圧痛を認めていた.解剖学的な左付属器位置から離れている印象ではあったが,診察所見から左内膜症性嚢胞の診断で経過観察としていた.不妊精査目的に子宮卵管造影検査を実施したところ,単頸双角子宮が疑われた.MRI検査で重複子宮,正常の両側卵巣が確認され,さらに左側腟は閉鎖し閉鎖腟内腔に血腫の貯留を認めたため,OHVIRA症候群の疑いとなった.左内膜症性嚢胞は左腟内腔の血腫と判明し,左側腟留血腫除去目的に腟開窓術の方針となった.術中,左腟血腫内に希釈インジゴ液を注入したところ,腟壁には瘻孔を認めず,右子宮口からのインジゴの流出を認めたため,重複子宮に瘻孔があることが推定された.右腟円蓋より腟側2cmのところに約3cm四方の開窓を形成,左腟腔内血腫除去および洗浄を実施し,左外子宮口を確認し終了した.切除した腟壁の病理結果で重層扁平上皮であることが確認され,さらに術後の尿路造影検査で左不完全型重複腎盂尿路を確認,OHVIRA症候群と診断した.現在タイミング療法で不妊治療継続中である.
【考察】
OHVIRA症候群は比較的まれな疾患ではあるが,左右の子宮は機能的に正常であることが多いため,早期発見・早期治療は,将来的な子宮内膜症や骨盤内癒着発症の予防だけでなく,妊孕性を保つ観点からも重要である.今回我々は,超音波像から腟留血腫を子宮内膜症性嚢胞と誤認していたが,子宮卵管造影検査,MRI検査からOHVIRA症候群の診断に至ることができた.腟留血腫の超音波像は内膜症性嚢胞と類似することがあり,非典型的な位置に内膜症性嚢胞を伴う場合には,積極的にMRI検査などの画像診断を加えることも重要であると考えられた.