Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
胎盤・臍帯・母体卵巣

(S679)

妊娠中の卵巣腫瘍における良悪性の術前予測について

Pre-operative prediction of benign and malignant ovarian tumors in pregnant women

見上 由紀子, 鮫島 浩輝, 上村 のぞみ, 江良 澄子, 小野 義久, 高井 泰, 斎藤 正博, 馬場 一憲, 関 博之

Yukiko MIKAMI, Koki SAMEJIMA, Nozomi UEMURA, Sumiko ERA, Yoshihisa ONO, Yasushi TAKAI, Masahiro SAITOU, Kazunori BABA, Hiroyuki SEKI

1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門, 2埼玉医科大学総合医療センター産婦人科

1Department of Obstetrics and Gynecology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University

キーワード :

【目的】
妊娠初期に卵巣腫瘍を偶発的に発見した場合,その多くが良性腫瘍であるが,まれに悪性腫瘍も存在する.特に子宮内膜症性卵巣嚢胞では,脱落膜様変化により画像所見が非妊娠時と異なるため,手術の是非や術式の選択において迷うことがある.本研究では,妊娠中に手術を行った卵巣腫瘍のうち,術後に悪性腫瘍と診断されたものと子宮内膜症性卵巣嚢胞の脱落膜様変化と診断されたものについて後方視的に検討し,良悪性の判別に寄与する因子について検討した.
【方法】
当院にて2006年1月から2016年7月までの期間で,妊娠中に卵巣腫瘍の手術を行った症例のうち,結果的に悪性腫瘍であった症例は10例,子宮内膜症性卵巣嚢胞の脱落膜様変化であった症例は11例あった.これらの超音波検査所見,腫瘍マーカーについて比較した.統計解析はJMP10を用いて行い,p値0.05未満を統計学的有意とした.
【結果】
対象者の平均年齢は33.2±3.2歳,手術時の妊娠週数は中央値13週5日(12週0日~25週0日)であった.術式は13例が付属器切除術,5例が腫瘍摘出など保存的手術,3例が経腟的穿刺吸引術であった.悪性腫瘍と子宮内膜症性卵巣嚢胞の間には,腫瘍最大径(8.59±2.47cm対7.42±2.4cm),腫瘍隔壁や充実部分における動脈血流のresistance index(RI)(0.43±0.17対0.44±0.13),腫瘍マーカーCA125値(162.4±342.7 U/ml対185.1±188.3U/ml)に有意差はなかった.
【考察】
一般的に卵巣腫瘍において悪性腫瘍におけるRI値は低いとされているが,妊娠中の子宮内膜症性卵巣嚢胞と悪性腫瘍を比較してもRI値に有意差がなく,術前に良悪性の推定が困難であるため,十分なインフォームドコンセントが必要である.