Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
胎児異常

(S675)

胎児心室中隔欠損における欠損部位の違いによる短絡血流の差異

Characteristics of interventricular shunt flow in fetuses with isolated ventricular septal defect assessed by dual Doppler imaging

加地 剛, 七條 あつ子, 米谷 直人, 早渕 康信, 前田 和寿, 苛原 稔

Takashi KAJI, Atsuko HICHIJO, Naoto YONETANI, Yasunobu HAYABUCHI, Kazuhisa MAEDA, Minoru IRAHARA

1徳島大学病院産科婦人科, 2徳島大学病院小児科, 3四国こどもとおとなの医療センター産婦人科

1Obstetrics and Gynecology, Tokushima University Hospital, 2Pediatrics, Tokushima University Hospital, 3Obstetrics and Gynecology, Shikoku Medical Center for Children and Adults

キーワード :

【目的】
胎児心室中隔欠損(VSD)のうち,膜様部欠損では等容拡張期(IRT)の右左短絡,等容収縮期(ICT)の左右短絡が心室間にみられることを以前の本学会にて報告した.今回筋性部欠損では短絡血流の特性が膜様部欠損と異なるかdual Dopplerを用いて検討した.
【方法】
対象は2011年から2014年に当院で胎児診断されたVSD単独症例17例とした.心外奇形や染色体異常を合併した症例は除外した.dual Dopplerを用いてVSD短絡血流と左室流入・流出血流を同時に測定した.左室流入・流出血流波形から,心時相を拡張期はIRTと流入期,収縮期をICTと駆出期に分け,短絡血流の心時相を決定した.超音波装置は日立社製 Preirusを使用した.
【結果】
検査週数は中央値36(23-40)週で,全17例の内訳は膜様部11例,筋性部が6例であった.VSD径/大動脈弁輪径は,膜様部では5例が1/3以下,残り6例が1/3~1で,筋性部はすべて1/3以下であった.
短絡血流を拡張期・収縮期別でみてみると,拡張期(IRT+流入期)のうちIRTでは右左短絡が膜様部:11/11(100%),筋性部:5/6(83%)で認めた.一方流入期に短絡血流を認めたのは膜様部では6/11(55%)であったが,筋性部では6/6(100%)で認められた.収縮期(ICT+駆出期)においては,ICTもしくは駆出期前半には左右短絡が膜様部:10/11(91%),筋性部:5/6(83%)で認められた.一方で駆出期後半に右左短絡を認めたのは膜様部では5/11(45%)であったが,筋性部では6/6(100%)であった.
各症例において,最も速い短絡血流は膜様部では全例でIRTの右左短絡であったが,筋性部では3/6(50%)がIRTの右左短絡で3例は収縮期に認められた.
【結論】
胎児のVSD短絡血流は欠損部位によらずIRTに右左短絡,ICTもしくは駆出期前半は左右短絡であった.一方筋性部欠損では流入期や駆出期後半にも短絡血流が認められるなど欠損部位による短絡血流の特性の違いが示唆された.ただし筋性部欠損では膜様部欠損より欠損孔が小さいものが多く,欠損孔の部位だけではなく大きさの違いが影響していると推測される.