Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 消化器
胆道

(S660)

腹部超音波検査を契機に発見された胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の一例

A case of intraductal papillary neoplasm of bile duct(IPNB) discovered by abdominal ultrasonography

片岡 咲, 橋ノ口 信一, 乙部 克彦, 石川 照芳, 今吉 由美, 川地 俊明, 熊田 卓, 金森 明, 豊田 秀徳, 多田 俊史

Saki KATAOKA, Shinichi HASHINOKUCHI, Katsuhiko OTOBE, Teruyoshi ISHIKAWA, Yumi IMAYOSHI, Toshiaki KAWACHI, Takashi KUMADA, Akira KANAMORI, Hidenori TOYODA, Toshifumi TADA

1大垣市民病院医療技術部診療検査科, 2大垣市民病院消化器内科

1Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
IPNB(intraductal papillary neoplasm of bile duct)のは,胆管内に発生し膵のIPMN(intraductal papillary mucinous neoplasm),特に主膵管型IPMNに類似した発育形態をとる.胆管上皮由来の乳頭状腫瘍であり,腫瘍の主座の胆管は拡張し,高度の嚢胞状の拡張を示すことが多い.限られた症例数からその発生過程などまだ不明な点もみられる.今回我々は,腹部超音波検査(US)を契機に発見されたIPNBを経験したので報告する.
【症例】
78歳,男性.20XX-16年よりC型慢性肝炎で当科通院中.20XX-1年1月のUSで肝S4に嚢胞性病変が出現した.20XX-1年8月,20XX年2月の経過観察のUSではサイズや性状に変化はみられなかったが,20XX年9月のUSで嚢胞性病変の内部に乳頭状の充実エコーを認め,精査となった.血液生化学所見に特記事項は無かった.USでは肝S4に,内部に乳頭状の充実エコーを伴う円形の嚢胞性病変を認め,周辺の胆管拡張を伴っていた.造影USでは乳頭状の充実エコー部に動脈優位相にて内部に細かな点状エコーがみられ全体が早期に染影された.門脈優位相で染影は消失し,後血管相でも染影は消失したままであった.造影により拡張胆管がより明瞭に描出され,嚢胞性病変との連続性がみられIPNBが疑われた.Dynamic CT(computed tomography)では内部に充実部を伴う多房性の嚢胞性病変を認めた.充実部に造影効果はみられたが,サイズが小さく血行動態の評価は困難であった.MRCP(magnetic resonance cholangiopancreatography)では胆管と連続した内部に乳頭状の充実部を伴う嚢胞性病変を認めた.ERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography)では胆管造影後,管腔内USを施行したところB4の腫瘍が観察されたが,腫瘍が左肝管内に進展する所見は認めなかった.各種画像検査からもIPNBを第一に疑い,当院外科にて肝拡大左葉,尾状葉切除を施行した.病理組織所見では嚢胞状に拡張した腺管内に粘液を有する高円柱形胞体を持つ細胞が乳頭状に増殖する像を認めた.核の腫大と配列の乱れが目立つ部分がみられ病理学的診断は乳頭腺癌であった.
【結語】
定期のUSで嚢胞内の充実部を早期に発見し加療できたIPNBを経験した.造影USは充実部が腫瘍かどうかの判定に非常に有用であった.