Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 消化器
胆道

(S658)

SMI(Superb Micro-vascular Imaging)にて穿通部を明瞭に描出できた胆嚢穿通の一症例

A case with penetration of the gallbladder which clearly revealed by SMI(Superb Micro-vascular Imaging)

辻井 邦昌, 山崎 元, 田畑 智丈, 箱田 昭俊, 金羽 繁和, 山内 紀美子, 柳田 節子, 東山 香織, 久保 良美, 大橋 まゆ

Kuniaki TSUJII, Hajime YAMASAKI, Tomotake TABATA, Akitoshi HAKODA, Shigekazu KANEHA, Kimiko YAMAUCHI, Setsuko YANAGIDA, Kaori HIGASHIYAMA, Yoshimi KUBO, Mayu OHASHI

1医療法人東和会第一東和会病院臨床検査科, 2医療法人東和会第二東和会病院外科, 3医療法人東和会第一東和会病院消化器外科, 4医療法人東和会第一東和会病院消化器内科

1Department of Medical Laboratory, Daiichi Towakai Hospital, 2Department of Surgery, Daini Towakai Hospital, 3Department of Gastroenterological Surgery, Daiichi Towakai Hospital, 4Department of Gastroenterology, Daiichi Towakai Hospital

キーワード :

【症例】
70歳男性
【既往歴】
糖尿病,高脂血症
【主訴】
発熱
【現病歴】
2016/10/20頃より発熱があり近医にて検査の結果,肝膿瘍を疑われ2016/10/24にドレナージ等の処置を目的に当院搬送となった.
【超音波所見】
胆嚢頚部に結石,内腔に胆泥を認めた.胆嚢壁は全周性に肥厚し三層構造を呈するも緊満感はなかった.体部付近に壁構造が欠損した部位を認め,その部位と肝の嚢胞性病変との間に連続性を認めた.
この嚢胞性病変は径40mm,境界はやや不明瞭で不整,内部に血流は描出されなかった.その壁欠損部と嚢胞部の間に内部エコーの流動をBモードで認めたため,SMI(Superb Micro-vascular Imaging)を欠損部に当てると穿通部に一致して内部エコーの流動性が確認された.
以上より急性胆嚢炎の穿通による肝膿瘍を考えた.
【造影CT所見】
肝右葉に大きさ40mmの低吸収域を認め,辺縁部には淡い染影が見られ内部の輝度は低く液体貯留を疑い肝膿瘍と考えられた.
【MRCP所見】
肝右葉に43mmの膿瘍が見られる.胆嚢と交通が疑われた.
以上のことから胆嚢穿通による肝膿瘍と診断され2016/10/25に手術となった.
【腹腔鏡術中所見】
胆嚢内腔に結石を認め,胆嚢周囲に大網が広範囲に癒着しており底部の肝床部にて穿通を認めた.穿通部に膿瘍があり結石も5個認められた.
急性胆嚢炎の胆嚢穿通による肝膿瘍と診断された.
【病理所見】
炎症細胞浸潤は壁全層に認められ,漿膜下層脂肪組織の壊死が見られ,穿通を伴った急性胆嚢炎を考える所見であった.
【考察】
我々は以前,胆嚢捻転症において壁の阻血の状態の観察にSMIが有用と報告してきたが,穿通部と膿瘍部の交通の観察にもSMIは有用であった.
このことから小さい穿孔や穿通でもSMIは有用と考えられた.
【結語】
SMIにて明瞭に穿通部を描出できた一症例を報告する.