Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 消化器
消化管

(S657)

静脈硬化性大腸炎の2例

Two cases of phlebosclerotic colitis

松原 友紀, 本田 伸行, 佐藤 まり恵, 橋向 成典

Yuki MATSUBARA, Nobuyuki HONDA, Marie SATOU, Shigenori HASHIMUKAI

寺元記念病院画像診断センター

Diagnostic Imaging Center, Teramoto Memorial Hospital

キーワード :

【はじめに】
静脈硬化性大腸炎は,大腸壁内および腸間膜の静脈硬化を起因として慢性虚血性大腸炎をきたすまれな疾患である.今回,約8年にわたり経過観察が行われ手術に至った症例と,保存的治療にて4年経過観察中の症例を報告する.
【症例1】
70歳代,女性.腹痛,嘔吐を主訴に来院.
腹部USでは,上行結腸~下行結腸の壁肥厚と壁内に存在する点状~線状の高エコーを認めた.また,結腸壁内の高エコーは一部壁外に連続していた.腹部単純CTでは,上行結腸~下行結腸の壁肥厚や,腸間膜静脈に沿った点状や線状の石灰化が見られた.大腸内視鏡では,管腔の狭小化や粘膜の色調変化を伴っていた.注腸X線像では,管腔狭小化や拇指圧痕像を認めた.これらを総合して静脈硬化性大腸炎と診断した.8年の経過でこの高エコーは明らかに増加し,腸閉塞の寛解・増悪も繰り返していた.今回保存的治療を行うも症状悪化したため,結腸亜全摘術が施行された.術後の経過は良好であった.
【症例2】
80歳代,女性.発熱,頻回の嘔吐にて救急搬送.
腹部USでは症例1同様,上行結腸の壁肥厚と壁内に存在する点状~線状の高エコーを認め,CTでも症例1同様であった.これらを総合して静脈硬化性大腸炎と診断した.3年の経過でこの高エコーは増加し,病態の進行を示唆していた.現在も外来で経過観察中だが,4年目のフォローアップUSでも,大きな変化は認めていない.
【考察】
漢方薬の服用歴以外にも,様々な発症要因の関与も示唆されているが,過去の症例報告同様,本例も漢方薬(加味逍遥散)の長期服用が主要因と考えられた.
【結語】
本疾患は特徴的なUS像を呈し,漢方薬の長期服用歴などを総合すればUSによる診断は比較的容易である.