Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 消化器
消化管

(S656)

腹部超音波検査を契機に発見された胃ガストリノーマの一例

A case of stomach gastrinoma diagnosed with transabdominal ultrasonography

石川 照芳, 橋ノ口 信一, 片岡 咲, 日比 敏男, 今吉 由美, 熊田 卓, 豊田 秀徳, 金森 明, 多田 俊史, 東掘 諒

Teruyoshi ISHIKAWA, Shinichi HASHINOKUCHI, Saki KATAOKA, Toshio HIBI, Yumi IMAYOSHI, Takashi KUMADA, Hidenori TOYODA, Akira KANAMORI, Toshifumi TADA, Ryou HIGASHIBORI

1大垣市民病院診療検査科形態診断室, 2大垣市民病院消化器科

1Department of Medical Inspection, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
ガストリノーマは十二指腸,膵の両方から発生することが知られているが,近年,膵ガストリノーマより十二指腸ガストリノーマの発生率の方が高く,膵・十二指腸以外からの発生も報告されている.今回我々は,難治性多発十二指腸潰瘍にて経過観察中の腹部超音波検査を契機に発見された胃ガストリノーマを経験したので報告する.
【症例】
63歳女性で,20XX年心窩部不快感と下痢にて他院受診.症状改善みられず精査目的にて当院消化器内科紹介.当院CT,EGD検査にてSMA症候群と十二指腸潰瘍と診断され入院加療.その後も嘔吐,下痢を繰り返し紹介時より9か月後,ガストリノーマが疑われたが,ガストリン値が972pg/dl(プロトンポンプ阻害薬(PPI)内服下)であり経過観察となっていた.その後も多発十二指腸潰瘍に伴う通過障害で入退院を繰り返していたがその間,CT,US,GISなど腫瘤の指摘は無かった.紹介時より2年4か月後,嘔吐,下痢を主訴に受診.PPIで改善みられず入院.この時USにて腫瘤を指摘された.ガストリン値は2479pg/ml(PPI休薬中)と高値を示した.
【各種画像検査】
体外式の腹部超音波検査では,B modeで胃前庭部後壁の粘膜下層にサイズが14×10mmの境界明瞭で辺縁平滑,内部不均一な低エコー腫瘤を認めた.腫瘤周辺の胃壁肥厚はみられず,胃内残渣も認めなかった.カラードプラでは腫瘤辺縁から流入する拍動性の血流を認めた.造影超音波検査(CEUS)では血管相にて辺縁から濃染され,腫瘤全体が早期に濃染され,1分程染影が持続した.超音波内視鏡検査では,腫瘤は第3層に存在し,第3層とほぼ等エコーを示す内部不均一な腫瘤を認めた.カラードプラでは内部に拍動性シグナルを認めた.造影CT検査では,胃前庭部後壁に境界明瞭な隆起性腫瘤を認め,動脈相で強く濃染され,平衡相まで持続した.周囲リンパ節腫大や周囲組織への浸潤,遠隔転移は認めなかった.局在診断および腫瘍の他部位の存在の否定のために施行したソマトスタチン受容体シンチグラフィー検査では,静注4時間後の画像で,正中腹側に集積増加像を認め,24時間後像より明瞭に描出された.SPECT像の集積部は胃前庭部に一致した.各種画像検査と高ガストリン値より,胃ガストリノーマが疑われた.他部位への転移を認めなかったため,腹腔鏡補助下幽門側胃切除術が施行された.
【病理組織所見】
腫瘤は胃と十二指腸の境界部に位置し,粘膜下腫瘍で固有筋層に浸潤しながら結節状となっていた.
Neuroendocrine tumor G1,Gastrin陽性 pT2(MP), med, INFa, ly0,v0,pN1(#6)であり,胃ガストリノーマ(幽門輪部)の診断であった.
【考察】
神経内分泌腫瘍(NET)は,局在診断に苦慮することがあり,ガストリノーマ患者の9割以上に消化性潰瘍がみられるとの報告もある.本症例も当初SMA症候群による通過障害から潰瘍再発が疑われていたが,US,CT,GISなどその原因疾患を特定できず,局在診断には至らなかった.
【結語】
難治性多発十二指腸潰瘍の経過観察で行われた腹部超音波検査による腫瘤の発見が,胃ガストリノ-マの診断の一助になった.