英文誌(2004-)
一般ポスター 循環器
症例3
(S649)
心内右左シャントが証明されたトルソー症候群の一例
A case of Trousseau's syndrome with Intracardiac shunt
原 信博, 宮﨑 亮一, 宮本 貴庸
Nobuhiro HARA, Ryouichi MIYAZAKI, Takamichi MIYAMOTO
武蔵野赤十字病院循環器科
Department of Cardiology, Musashino Red Cross Hospital
キーワード :
52歳,女性.既往歴は特記事項なし.言葉の出ずらさを主訴に救急外来を受診した.MRIで多発脳梗塞を認め,両側内頚,椎骨動脈領域にわたる梗塞であったため塞栓による脳梗塞と診断した.造影CTで脾臓,腎臓にも梗塞を認め,さらに深部静脈血栓,肺血栓塞栓を認めた.来院日1週間前に腹部腫瘤精査のため他院を受診していた.腹部腫瘤は婦人科で卵巣腫瘍(悪性腫瘍疑い)と診断された.トルソー症候群と診断され,抗凝固療法を継続しながら,第7病日腫瘍摘出を行った.術後診断は卵巣癌(明細胞腺癌stageⅠa)であった.静脈系の血栓も認めていたことから,深部静脈血栓症からの肺塞栓,奇異性塞栓(脳,脾臓,腎臓)を疑った.経食道心エコー図で心内塞栓源は認めず,ASDは認めなかった.バルサルバ手技下でのマイクロバブルテストで右左シャントを認め,左心系の塞栓は奇異性塞栓である可能性を強く疑った.術後経過に問題なく直接作用型経口抗凝固薬で治療を行い退院した.StageⅠaとはいえ明細胞腺癌はムチン産生の血栓形成の強い悪性腫瘍であり,深部静脈血栓症から肺血栓塞栓症,奇異性塞栓(卵円孔)を来した一例を報告する.