Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 循環器
症例3

(S649)

リアルタイムImage Fusion技術を用いることで確定診断に至った深部静脈血栓症の1例

A case of deep vein thrombosis leading to definite diagnosis by using real-time image fusion technique

金子 明弘, 竹内 夕紀子, 許 正翰, 小笠原 大介, 櫻井 正人, 植田 充典, 宮島 透, 田中 弘教

Akihiro KANEKO, Yukiko TAKEUCHI, Shokan KYO, Daisuke OGASAWARA, Masato SAKURAI, Atsunori UEDA, Toru MIYAJIMA, Hironori TANAKA

1宝塚市立病院循環器内科, 2宝塚市立病院消化器内科

1Cardiology, Takarazuka City Hospital, 2Gastroenterology, Takarazuka City Hospital

キーワード :

【症例】
83歳,女性.(現病歴)急性虫垂炎に対する保存的治療目的で,当院外科へ約3週間の入院加療が必要であった.右下腿浮腫が出現し,持続したため退院後2週間後に当院当科紹介受診された.臨床所見として右下腿優位に圧痕性浮腫を認め,腓腹部の把握痛があり,臨床症状,臨床経過を考慮すると右下肢深部静脈血栓症が疑われた.下肢静脈エコーを施行したところ,両側浅大腿静脈の基部から中部が浅大腿動脈壁の石灰化のアーチファクトで評価困難であったが,ミルキング法を用いると総大腿静脈に血流が確認され,明らかに深部静脈血栓症を示唆する所見は認められなかった.その他の検査として,経胸壁心エコー図検査にて右心負荷所見を認めず,肺換気血流シンチで明らかなミスマッチを認めなかったため,深部静脈血栓が肺動脈へ飛散した後である可能性は低いものと考えられた.Magnetic resonance venography(以下MRV)を施行したところ,右大腿静脈遠位部から浅大腿静脈基部にかけて連続した陰影欠損を認め,maximam intensity projection画像でも同部位の静脈描出は不良であったため右大腿静脈深部静脈血栓症を疑った.治療として,抗凝固療法を開始するためには,下肢静脈エコー検査による血栓の確認は必須であったたため,リアルタイムImage Fusion技術を用いて,同部位の検索を行った.結果,右浅大腿静脈の静脈壁に壁在する低エコー輝度の血栓像を確認し,深部静脈血栓症の確定診断に至ったため,抗凝固療法としてリバーロキサバン30mg/日の投与を開始した.抗凝固療法開始後2週間後に下肢静脈エコー検査を再検したところ,壁在血栓の消失はしなかったものの,若干の消退を認め,エコー輝度上昇を認めたため,急性期からは離脱したものと判断し,入院後約3週間後に退院された.
【考察】
超音波診断装置は,Computer Tomography(以下CT)やMagnetic Resonanse Imaging(以下MRI)に対し,検者依存性や客観性の観点で劣っていることが問題とされてきた.近年,超音波診断装置にCTやMRIの画像を取り込み,超音波画像とフュージョン表示する,リアルタイムImage Fusion技術が開発され,腹部消化器領域や肺領域等でも応用が進んでおり,穿刺や治療補助,治療効果判定などで有効性が確認されている.今回,我々は,リアルタイムImage Fusion技術を末梢血管に応用し,診断確定に有用であることを確認したため報告する.