英文誌(2004-)
一般ポスター 循環器
症例3
(S648)
巨大肝嚢胞の下大静脈圧迫により両側深部静脈血栓症を来した一例
A case of giant hepatic cyst-induced Deep Vein Thrombosis thrombosis
原 信博, 宮﨑 亮一, 宮本 貴庸
Nobuhiro HARA, Ryouichi MIYAZAKI, Takamichi MIYAMOTO
武蔵野赤十字病院循環器科
Department of Cardiology, Musashino Red Cross Hospital
キーワード :
94歳女性.5年前から肝嚢胞を指摘されていた.受診1週間前からの急激な左下腿浮腫を主訴に当院を受診した.精査にて両側深部静脈血栓症(右<左)を認め,造影CTで巨大肝嚢胞が下大静脈を圧迫していた.採血で血栓形成素因は認めなかった.この圧迫により血液うっ滞が生じ,血栓形成したことで急激な下腿浮腫を来したと考えた.直接型経口抗凝固薬を使用し抗凝固療法を開始した.Dダイマーは低下したが症状の改善に乏しく,肝嚢胞による下大静脈の圧迫解除が症状改善に寄与すると考え,エコーガイド下に穿刺吸引を行った(エタノール注入も考慮したが,高齢であるためまずは穿刺のみとした).2Lの排液した後に下大静脈の血流が良好になったことを確認した.周術期に合併症なく,下腿の浮腫も軽減した.抗凝固療法単独では症状改善せず,高齢ではあったが,エコーガイド下の肝嚢胞に対する処置が有効であったため報告する.