Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 循環器
症例1

(S643)

くも膜下出血におけるたこつぼ型心筋症での右室壁運動低下の併発と治療

Right ventricular dysfunction of Takotsubo cardiomyopathy on Subarachnoid hemrrhage

藤原 理佐子

Risako FUJIWARA

地方独立行政法人秋田県立病院機構秋田県立脳血管研究センター循環器内科

Cardiology, Independent Administrative Institution Akita Prefectural Hospital Organization Reseach Institute for Brain and Blood Vessels-Akita

キーワード :

【背景】
たこつぼ型心筋症では右室壁運動低下を合併する場合がある.その際は治療期間が長期となり,予後に影響するとされている.くも膜下出血を発症した際に,たこつぼ型心筋症を併発する例もあるが,右室壁運動低下の合併についての報告は無い.
【目的】
くも膜下出血におけるたこつぼ型心筋症での右室壁運動低下の併発の状況を確認すること.
【方法】
2006年11月から2015年8月にくも膜下出血で入院し,入院時経胸壁心エコーを施行した症例で,たこつぼ型心筋症と判断された21例を対象とした.通常計測項目,TAPSE,右室MPI,RVFAC,strain(base,mid,apex),右室基部及び心尖部e’,a’,s’を計測し,右室壁運動低下群(R群)と無し群(N群)で比較した.またくも膜下出血の重症度,転機,うっ血に対する利尿剤の使用有無に関して比較した.
【結果】
5例(23.8%)に右室壁運動低下がみられRVFAC<30%であった.N群12例でstrain計測可能であった.s’,RVFAC,strainがR群で優位に低かった(6.6±1.9 vs 10.3±1.8cm/s,p<0.05),(24.2±5.8 vs 49.0±10.3%,p<0.01),(base: -15.8±7.8 vs -24.73±10.9,p<0.05,mid:-11.4±3.2 vs -23.7±9.1,p<0.01,apex: -2.8±9.7vs -20.36±7.9,p<0.01).入院時重症度,転帰で有意差は無かった(WFNS: 2.8±1.3 vs 2.6±1.5,mRS: 3.2±2.4 vs 2.8±2.3)が,利尿剤の使用はR群で優位に多かった(3人0.60±0.55 vs 1人0.07±0.26,p<0.05).R群4例の初回TR:2.97m/s,圧較差:35.5mHgであり,左室EF,wall motion score合計数,右室心尖部s’,mid及びapex strainの推移では右室が左室より先に改善し,右室独自の壁運動低下と判断した.
【結論】
くも膜下出血におけるたこつぼ型心筋症症例で23.8%に右室壁運動低下が併発し,右室独自の機能低下がみられた.また利尿剤での使用を優位に要した.