Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 工学基礎
弾性・変位計測,バブル,プローブ

(S638)

変位のばらつきの逆数を重みに用いる超音波組織変位ベクトル計測

Ultrasonic tissue displacement vector measurement using reciprocals of displacement standard deviations as weights

炭 親良

Chikyoshi SUMI

上智大学理工学部情報理工学科

Dept of Info & Commun Sci, Sophia University

キーワード :

【目的・対象】
我々は,組織変位ベクトル法として,多次元自己相関法や横方向変調法,広帯域化せずに実施できるデモデュレーション法,スペクトル周波数分割法等を実現している.それらを高精度化するべく,未知の変位成分数以上に偏向波動を生成したり,周波数領域においてその数以上のスペクトルに分割することを行い,over-determinedシステムを構成することを提案している.その他に,正則化を用いることや最小自乗解や平均の解を求める際に局所定常の仮定の下で求まるばらつきやCRLB(Cramer-Rao Lower Bound)[1]を重みに使用することも提案している.本稿では,1次元自己相関法に基づいて各関心点で評価されるばらつき(分散はパワードプラ)を用いた.
【方法・結果】
偏向した各波動に対し,各関心点にて評価されるばらつきを多次元自己相関関数を用いて評価すると,厳密には各位置の伝搬方向の変位に関するばらつきが求まる.そこで,各関心にて求まるばらつきの逆数を用いて各位置でその偏向波動から導出されるドプラ方程式全体を重み付けし,重み付き最小自乗解を求める[1](方法1).または,未知変位成分数以上の式から求まる結果を平均化する場合にばらつきの逆数を用いた重み付き平均を計算する[1](方法2).ここでは,直径5mmの円柱状の詰め物を持つ寒天ファントムにおいて方法1を用いた(リニア型探触子,公称周波数f=7.5MHz,但し,エコーデータ収取装置が不調であったためエコー信号のSN比が通常よりも低い).横方向周波数を±f/2と±fとする計4つの平面波を送信し,横方向に静的に圧迫を加えた際の2次元歪テンソルを求めた.横方向歪のみを図に示す.左から順に,横方向変調±f/2,横方向変調±f,それらから成るover-determinedシステムにおいて,重み付き無し,重み付き有りの結果である.図中には詰め物内にて評価された平均とばらつきを示してある.
【考察・結論】
重み付き無しに比べて重み付きの最小自乗解の精度は高かった.今後には,スペクトル周波数分割法において導出される疑似の波動に対しても使用する.また,正則化と組み合わせて実施してさらに高精度な結果が得られよう.他の方法でばらつきを求めた場合との比較も行う.
[1]C. Sumi, Full paper proc of 13th ITEC, ID: 30,2014.