Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 工学基礎
イメージング・信号処理

(S633)

超音波画像を基にした舌基準モデルの構築と動画化

Construction and Animation of Tongue Reference Model based on Ultrasound Images

石津 剛志, 向井 信彦, 森 紀美江, 武井 良子, 山田 紘子, 張 英夏, 山下 夕香里, 長谷川 和子, 高橋 浩二

Tsuyoshi ISHIZU, Nobuhiko MUKAI, Kimie MORI, Yoshiko TAKEI, Hiroko YAMADA, Youngha CHANG, Yukari YAMASHITA, Kazuko HASEGAWA, Koji TAKAHASHI

1東京都市大学大学院工学研究科, 2昭和大学歯科病院口腔リハビリテーション科

1Graduate School of Engineering, Tokyo City University, 2Department of Oral Rehabilitation, Showa University Dental Hospital

キーワード :

【目的】
舌の動態解明において3次元動画像を用いて舌の動きを観察することは有効な手段である.このため,超音波診断装置を用いて撮影された舌の2次元前額断面像を基に,舌表面の3次元形状モデルを構築し,時系列的にモデルを変形すれば舌の運動を動画化することができる.しかしながら,舌超音波画像にはノイズが多く,構音障害症例や発音の種類により画像が不鮮明で舌表面の抽出が困難となる.そこで本研究では,比較的明瞭な画像が得られる健常者の超音波画像に画像処理手法を適用することで半自動的に舌基準モデルを構築し,時系列的に得られる超音波画像の特徴点を基に舌基準モデルを変形することで,舌運動を動画化することを目的とする.
【対象と方法】
腹部用超音波プローブを用いて撮影した健常者の安静位における前額断面像を基に,手動で舌表面上の特徴点を抽出する.抽出された特徴点を頂点とした多角形(矩形)を生成することで,舌の3次元形状モデルを構築する.また,舌の表面だけでなく,厚みを持たせたモデルを構築し,舌画像を貼り付けることで舌基準モデルを構築する.次に,日本語母音/a//i/発音時の舌動態変化を,超音波で時系列的に撮影し,舌表面抽出の対象となる範囲を手動で設定した後,画像の2値化,細線化,ひげ処理,スプライン補間などを施して特徴点を自動的に抽出する.舌表面が極端に不鮮明な画像については,手動で特徴点を抽出する.さらに,舌表面上で取得された特徴点を時系列的に補間することで舌運動を動画化する.この際,画像の不鮮明さに起因して抽出されなかった特徴点に対しては,基準モデルの特徴点に合せて特徴点の位置を推定することで,全特徴点の位置を時系列的に補間し,舌運動の動画化を行う.
【結果と考察】
健常者の超音波前額断面像を基に画像処理手法やスプライン近似を行うことで,舌基準モデルの構築が可能となり,不鮮明な画像でも舌の動画化が可能となった.また,日本語母音/a//i/発音時において,舌基準モデルの特徴点を時系列的に補間することで,発音の変化に応じて舌の動きを可視化することが可能となった.
【結論】
健常者の超音波画像を基に構築された舌基準モデルに対して,鮮明な画像が得られにくい側音化構音(LA)障害症例の画像を適用することで,LA症例者に対しても舌運動の動態解明が可能になると考えている.