Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 運動器・眼科・その他
運動器・眼科・その他

(S626)

浅部関節領域の撮像に適した音響カプラーによる手振れ改善効果

Improvement of hand shakes by acoustic coupler suitable for imaging of shallow joint area

藤原 洋子, 脇 康治, 村山 直之

Yoko FUJIHARA, Koji WAKI, Naoyuki MURAYAMA

株式会社日立製作所ヘルスケアビジネスユニット

Healthcare Business Unit, Hitachi, Ltd.

キーワード :

【背景】
関節リウマチは,国内では約70万人罹患者がいると厚生労働省厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ・アレルギー対策委員会のリウマチ・アレルギー対策委員会報告書に平成23年8月に報告されている.近年,治療薬が進歩することで,いち早く寛解の状態へ持ち込む治療が可能になってきており,それを確認するため超音波検査の重要性が増してきている.対象撮像部位は関節であるが,特に手指関節など浅部の撮像は,探触子のフォーカス位置よりもプローブ表面側に対象領域がある場合が多い.
フォーカス位置を合わせるために,ゼリーを厚く塗布し撮像するゼリー法が現在の主流であるが,気泡が混入することによる視認性の低下が生じる.また,体表から探触子を浮かせた状態での撮像による手振れの結果,画像描出に時間がかかり,検者の疲労の蓄積も大きくなるという課題がある.そのため,スタンドオフ材が販売されているが,素材の硬さや減衰などの音響特性が適していないものがあり,体表面へのフィッティング,Bモード像の視認性,血流感度,シート状であるために撮像操作が不便などいずれかに課題がある.
我々は,上記課題を解決するため,柔軟な素材の低減衰音響カプラーと,探触子と音響カプラーを連結するアタッチメントを作成した.
本報告では,低減衰音響カプラーを用いたカプラー法により,浅部の撮像が簡便になるかを確認するため,ゼリー法とカプラー法での手振れの程度について比較検討をしたので報告する.
【対象と方法】
超音波診断装置ARIETTA70とリニア型探触子L64を用いて,ゼリー法とカプラー法で指先の血流画像の撮像を行った.検査者3人にて,10秒間の撮像を3セット実施した.撮像中,手振れの量を記録するため,探触子に磁気センサ装着し,垂直方向の単位時間当たりの積算変位量を記録・比較した.
【結果】
3人の撮像による垂直方向の積算変位量結果の平均は,ゼリー法は0.27[mm/sec],カプラー法では0.11[mm/sec]となり,ゼリー法に比べカプラー法の変位量が小さく,手振れ量が少ない結果が得られた.(Fig.1)
【結論】
低減衰音響カプラーによる描出は,ゼリー法に比べ手振れを低減し,浅部の撮像が簡便になる可能性があることが示唆された.