Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 血管
血管2

(S623)

下肢閉塞性動脈硬化症患者の頚動脈エコー所見とは?-冠動脈造影検査施行患者での検討-

What findings on carotid echography do ASO patients have?: evaluation in patients who underwent coronary angiography

寺川 宏樹, 藤井 雄一, 上田 智広, 大下 千景, 河村 道徳, 小田 康子, 中村 友美, 神田 萌子

Hiroki TERAGAWA, Yuichi FUJII, Tomohiro UEDA, Chikage OSHITA, Michinori KAWAMURA, Yasuko ODA, Tomomi NAKAMURA, Moeko KANDA

1JR広島病院循環器内科, 2JR広島病院臨床検査科

1Department of Cardiovascular Medicine, JR Hiroshima Hospital, 2Department of Clinical Examination, JR Hiroshima Hospital

キーワード :

【背景】
動脈硬化はすべての血管におこりうる変化であるが,特に脳血管,冠動脈,下肢動脈の動脈硬化が臨床的に問題となることが多く,合併することも多く報告されている.今回,下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)を有する患者の頚動脈エコー所見をまとめたので報告する.
【方法】
冠動脈造影検査目的にて入院した患者688例(平均年齢68歳,男性441例女性247例)を対象とした.全例においてankle-brachial index(ABI)測定および頚動脈エコー法を施行した.ABI≦0.9をASO(+)と定義した.頚動脈エコー法のおいては,内膜中膜複合体径(IMT)を測定し,総頚動脈の平均IMT(mean IMT, mm),最大IMT(mm),石灰化の有無,有意狭窄(収縮期最高流速≧150cm/secあるいは閉塞)の有無について検討した.従来の冠危険因子の有無,慢性腎臓病(CKD)の有無,冠動脈造影の所見(有意狭窄>50%の有無,有意狭窄の罹患枝数),も併せて評価した.
【結果】
ASOは688例中88例(13%)に認めた.ASO患者は,冠動脈疾患を58例(66%),頚動脈狭窄を11例(13%)に認めた.ASOを有する患者では,高齢で(p<0.001),喫煙(p<0.001),糖尿病(p<0.0001)CKD(p<0.001)の罹患頻度が高く,冠動脈罹患枝数(p<0.0001)が高かった.頚動脈エコー法においては,mean IMT, max IMT,石灰化,有意狭窄はASO群で高かった(いずれもp<0.0001)が,max IMTにおいて一番oddsが高かった.ASOの合併をロジスティック解析により検討したところ,年齢(p<0.0001),喫煙(p<0.001),糖尿病(p<0.05),max IMT(odds 21,p<0.0001),罹患枝数(p<0.05)が有意な因子であった.Max IMTを用いてROC解析をしたところ,max IMT 2.49 mmで,感度63%,特異度82%であった(AUC 0.747).
【結論】
冠動脈造影を施行した患者が対象の検討ではあるが,冠動脈疾患,ASO,頚動脈硬化症の全身性動脈硬化を合併する患者は少なからず存在する.頚動脈エコー法は頚動脈病変の評価のみならずASO合併の診断の一助となる可能性が示唆された.