Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 血管
血管2

(S622)

高尿酸血症でのIMT,頸動脈壁弾性特性に対するキサンチンオキシダーゼ阻害薬の作用

Effects of xanthine oxidase inhibitors on carotid arterial IMT and elastic modulus, baPWV in life-related-disease patients with hyperuricemia

山岸 俊夫, 金井 浩

Toshio YAMAGISHI, Hiroshi KANAI

1東北公済病院内科, 2東北大学大学院工学研究科電子工学専攻

1Department of Internal Medicine, Tohoku Kosai Hospital, 2Department of Electronic Engineering, Graduate School of Engineering,, Tohoku University

キーワード :

【目的】
キサンチンオキシダーゼ阻害薬は,単なる尿酸低下薬でなく,メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の病態における血管や脂肪組織などのキサンチンオキシダーゼの過剰な活性化を緩和することにより,臓器での酸化ストレスを軽減し,病態を多面的に改善する代謝ストレス消去薬を考えられている.今回,生活習慣病に合併した高尿酸血症で,キサンチンオキシダーゼ阻害薬のIMT,頸動脈壁弾性特性,脈波伝播速度(baPWV)などに対する作用ついて検討した.
【方法】
生活習慣病(高血圧,糖尿病,脂質異常症)に合併した高尿酸血症外来患者51人(平均年齢59才,BMI26kg/m2)に,キサンチンオキシダーゼ阻害薬(フェブキソスタット(37人,平均18mg),トピロキソスタット(16人,平均49mg)いずれか1剤を無作為に,新規35人,アロプリノールからの切替16人)を内服して,生化学データ,baPWV,中心血圧(cSBP),内膜中膜肥厚(IMT)を12ヶ月間観察した.またうち6人でIMTおよび弾性特性(Eθ)の同時測定を行い,頸動脈エコーにて左右の総頸動脈の各2箇所,Bulbを含まない平坦部分について,合計4箇所を計測部位とした.Eθの計測には位相差トラッキング法(Kanai et al. 2003 Circulation)を用い,IMT計測領域にて測定した.
【成績】
投与前の尿酸,eGFR,血圧,脈圧,baPWV,cSBP,IMT,Eθは,7.9±1.0 mg/d,65.7±18.3ml/min./1.73m2,73.0±15.4kg,131.7±14.4/80.7±10.1mmHg,51.0±9.4mmHg,1528.0±255.0cm/sec,133.4±20.9mmHg,1.41±0.57mm,419.6±125.0kPaであった.キサンチンオキシダーゼ阻害薬投与12ヶ月後には,尿酸(全体-28%,新規-30%,切替-24%),収縮期血圧(全体-2%),baPWV(-6%),cSBP(-2%)は有意に減少(p<0.05),一方,頸動脈エコーでのIMT(-14%),Eθ(-14%)は有意に減少した.
また血管弾性特性(Eθ)の成分の増分,減分をヒストグラムで解析したところ,薄い部分では,平滑筋の硬さに相当する成分が増えていたことから内皮機能の改善が考えられた.
【結論】
キサンチンオキシダーゼ阻害薬阻害薬は,生活習慣病に合併した高尿酸血症患者において,体表からの超音波によるIMTおよび血管弾性特性を有意に変化させた.その機序として,尿酸,血圧低下や内皮機能の改善を生じうる可能性が示唆された.