Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 腎泌尿器
腎泌尿器2

(S618)

陰嚢鈍的外傷における超音波検査の検討

Evaluation of testicular ultrasound for blunt scrotal trauma

河本 敦夫, 吉田 勝衛, 高橋 友紀, 石引 いずみ, 植草 こずえ, 並木 一典

Atsuo KAWAMOTO, Katsumori YOSHIDA, Yuki TAKAHASHI, Izumi ISHIBIKI, Kozue UEKUSA, Kazunori NAMIKI

1東京医科大学病院放射線診断部, 2東京医科大学泌尿器科学講座

1Department of Diagnostic Radiology, Tokyo Medical University Hospital, 2Department of Urology, Tokyo Medical University

キーワード :

【目的】
陰嚢外傷のほとんどは鈍的な外傷とされ,受傷時陰嚢は腫張していることが多い.このため触診での判断は困難で画像検査での評価が重要である.当施設における陰嚢鈍的外傷に対する超音波検査(US)について検討した.
【方法】
対象は2010年4月から2016年10月の間に陰嚢外傷が疑われUSが施行された17例.年齢は17歳から67歳(平均年齢33.5歳),患側は右が5例,左が12例であった.原因はスポーツ外傷(サッカー,ラグビー,野球,ラクロス,空手)7例,交通外傷(バイク,自転車)6例,対人外傷(喧嘩)4例であった.機器は据置型フルデジタル装置(東芝Aplio XV,XG,GE LOGIQ E9),探触子は9MHz以上の高周波リニア型(PLT805AT,PLT1204AT,11L,ML6-15)を使用した.撮像法はティッシュハーモニックイメージで行った.得られたUS画像は精巣輪郭,実質内,陰嚢鞘膜腔を後方視的に評価した.
【結果】
USで所見が見られたものは14例(82%)であった.その内訳は,輪郭変形6例(43%),精巣内低エコー域3例(21%),精巣外低エコー域5例(36%)であった.臨床的に精巣破裂6例,精巣内血腫3例,そして陰嚢血腫5例とそれぞれ診断された.精巣破裂3例には外科的処置(デブリードマンおよび白膜縫合)が行われ,この内2例の患側精巣は温存された.ほか11例は保存的治療がなされた.所見の無い3例は,異常なしとされ無治療であった.
【考案】
近年,高周波探触子にテッシュハーモニックイメージやコンパウンドスキャンなどの新しい撮像法が導入され,画質は向上している.今回,緊急手術の適応となる白膜損傷は全例で指摘可能であった.陰嚢外傷にはMRIのT2強調画像が有用との報告があるが(Avery et al. Radiographics, 2013),緊急に対応できる施設は少ない.陰嚢外傷には,至適な装置と条件設定でのUSを積極的に活用する必要がある.