Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 甲状腺(JABTS)
診断

(S611)

頸部リンパ節診断における穿刺液サイログロブリン測定の経験

Usefulness of Thyroglobulin Measurement in Fine Needle Aspirates for Diagnosis of Neck Lymph Node Metastasis from Thyroid Carcinoma

川真田 明子, 鈴木 留美, 飯原 雅季

Akiko KAWAMATA, Rumi SUZUKI, Masatoshi IIHARA

南池袋パークサイドクリニック内分泌外科

Endocrine Surgery, Minami-Ikebukuro Parkside Thyroid Clinic

キーワード :

【はじめに】
近年,頸部リンパ節腫大の診断における超音波検査の役割は大きく画像の進歩から小さいリンパ節転移を早期に判断することが可能となっている.当院では甲状腺を中心に診療を行っており,甲状腺乳頭癌の診断や術後の経過観察では超音波検査がその中心となっている.超音波検査にてリンパ節転移を疑った場合に細胞診だけで診断が確定できない症例もあり,そのような場合に穿刺液サイログロブリン測定を行っている.
【対象と方法】
当院にて診断の補助としてリンパ節穿刺液サイログロブリン測定を行った5症例についてその有用性を検討する.
【結果】
症例1:35歳,女性.甲状腺腫大精査目的に受診.超音波検査にて甲状腺左葉に約2cmの甲状腺乳頭癌の所見を認め,左頸部に転移疑うリンパ節腫大(充実性)を認めた.原発巣の細胞診は悪性で甲状腺乳頭癌と診断.術式検討目的にリンパ節細胞診を行い鑑別困難であったため,穿刺液サイログロブリン測定し1806 ng/mLにて甲状腺乳頭癌,リンパ節転移と診断.
【症例2】
51歳,女性.甲状腺乳頭癌にて甲状腺左葉峡切除,D1郭清を行い経過観察中.超音波検査にて転移を疑う右頸部リンパ節腫大(嚢胞性)を認めた.細胞診は良性であったが転移を疑い穿刺液サイログロブリン測定し>1000 ng/mLにてリンパ節再発と診断
【症例3】
78歳,女性.甲状腺乳頭癌にて甲状腺全摘,左D2a郭清を行い経過観察中.超音波検査にて転移を疑う左頸部リンパ節腫大(充実性)を認めた.細胞診は良性であったが転移を疑い穿刺液サイログロブリン測定し<0.1 ng/mLにて転移を否定
【症例4】
37歳,女性.甲状腺乳頭癌にて甲状腺全摘,右D2a郭清を行い経過観察中.超音波検査にて転移疑う左頸部リンパ節腫大(充実性)を認めた.診断を確実にするため細胞診と穿刺液サイログロブリン測定を施行し細胞診悪性,サイログロブリン>1000 ng/mLにて転移の診断
【症例5】
甲状腺乳頭癌にて甲状腺左葉峡切除,左D2a郭清を行い経過観察中.超音波検査にて転移疑う左頸部リンパ節腫大(充実性)を認めた.診断を確実にするため細胞診と穿刺液サイログロブリン測定を施行し細胞診悪性,サイログロブリン473 ng/mLにて転移と診断
【考察】
リンパ節転移において超音波診断や細胞診は有用であるが,偽陰性や偽陽性の可能性があるため超音波診断と細胞診の結果が不一致の場合に穿刺液サイログロブリン測定を加えることは診断に有用であった.また,確実な診断を得る目的に状況に応じて細胞診とともに穿刺液サイログロブリン測定を同時併用することも患者にとり有益と考えられる.