Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 甲状腺(JABTS)
診断

(S610)

甲状腺濾胞性腫瘍に対するSMIの検討

Study of SMI for thyroid follicular tumor

下出 祐造

Yuzo SHIMODE

金沢医科大学頭頸部外科学講座

Head and Neck Surgery, Kanazawa Medical University

キーワード :

【はじめに】
甲状腺濾胞性腫瘍は甲状腺癌取扱い規約で濾胞腺腫と濾胞癌に分けられる.いずれも濾胞上皮細胞由来で乳頭癌に特徴的な核所見はなく,細胞異形は良悪性の鑑別に寄与しない.濾胞癌の病理学的診断には腫瘍細胞の被膜浸潤・脈管侵襲あるいは甲状腺外への転移のいずれか少なくとも一つを確認することが必要であり,免疫組織化学的発現を組み合わせた良悪性鑑別の試みや検査機器の精度の向上,多様化により,さまざまなモダリティを用いて濾胞癌の特徴を術前にとらえる試みがなされている.最近超音波機器の精度が向上しあらたな手法としてSuperb Microvascular Imaging(SMI)という低流速検出に優れた血流イメージ解析法が開発されさまざまな領域で検討が行われている.今回この手法を用いて濾胞性病変を中心に甲状腺腫瘍におけるSMIの有用性について検討した.
【対象と方法】
2015年10月から2016年12月に当科で手術加療を施行した甲状腺濾胞性病変を対象に微細血流所見の特徴を検討した.内訳は濾胞腺腫2例,腺腫様結節11例,機能性腺腫1例,濾胞癌もしくは濾胞癌の疑い2例,炎症性線維組織1例である.各症例においてそれぞれに,カラードプラよりも血行動態を高分解能で描出するAdvanced Dynamic Flow(ADF)と新たに開発されたSMIの二つの手法による腫瘍の血行動態を描出し,その特徴について比較を行った.
【結果】
濾胞腺腫や腺腫様結節,機能性腺腫では比較的血流の豊富な腫瘍ではADF,SMIの比較評価ではいずれも心拍に伴う描出は途切れることなく描出された.一方濾胞癌は疑いを含め2例と数は少ないものの非常に血流が豊富であった.さらにADFとSMIの所見に相違が見られ,ADFでは拡張期に血流信号の途絶を呈する部位が目立ったがSMIでは途絶することなく血流が描出された.
【まとめ】
甲状腺濾胞性腫瘍に対してADFとSMIの所見に相違が見られた.今後症例を重ね両者の鑑別における有用性について引き続き検討を行う.