Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 乳腺(JABTS)
症例2

(S600)

乳管腺腫の3症例

Three cases of Ductal adenoma

田島 亜弥, 山口 純子, 佐藤 勉, 坂井 由紀子, 佐藤 洋子, 永田 好香, 田中 久美子, 武田 宏太郎, 手島 伸一

Aya TAJIMA, Junko YAMAGUCHI, Tutomu SATOU, Yukiko SAKAI, Youko SATOU, Yoshika NAGATA, Kumiko TANAKA, Koutarou TAKEDA, Shinichi TESHIMA

1湘南鎌倉総合病院検査部, 2湘南鎌倉総合病院乳腺外科, 3湘南鎌倉総合病院病理診断部

1Clinical Laboratory, Shonankamakura General Hospital, 2Department of Breast Surgery, Shonankamakura General Hospital, 3Pathological Diagnosis Department, Shonankamakura General Hospital

キーワード :

【はじめに】
乳管腺腫は浸潤性乳管癌や乳管内乳頭腫などとの鑑別が難しい良性腫瘍として知られている.乳管腺腫の3例を経験したので報告する.
【症例1】
74歳女性.当院,外科にて腫瘤に対しFNAを施行.細胞診の結果ClassⅢの診断であり,乳腺外科受診となった.経過観察中,上記腫瘤近傍に新規腫瘤を認め精査となった.MGで腫瘤と石灰化が少量見えるが,以前と変化なく悪性を思わせる所見ではなかった.USでは,E領域にT= 6×6×6mmの境界明瞭粗ぞうな
低エコー腫瘤を認め,内部エコー均一,Halo(-)
前方境界線断裂(-)後方エコー不変,縦横比大,バスキュラリティ(++)エラストスコア3でカテゴリー4とした.浸潤性乳管癌も否定出来ない印象であり,針生検を施行した結果,乳管腺腫であった.
【症例2】
47歳女性.他院の検診にてUSで腫瘤を指摘され,当院受診となった.触診ではやや
硬い腫瘤を認めた.MGではびまん性の石灰化を認めるのみで腫瘤はみられなかった.USではD領域にT=13×5×11mmの低エコー腫瘤を認め,境界明瞭
粗ぞう,内部不均一,Halo(-)前方境界線断裂(-)後方エコー不変,縦横比小,バスキュラリティ(-)エラストスコア2でカテゴリー3とした.初診時は
経過観察としたが典型的な良性所見とも言えず
針生検を施行した結果,乳管腺腫であった.
【症例3】
61歳女性.前医で左乳房のしこりを指摘され当院受診.触診で可動性のよい腫瘤を
認めた.MGは撮影困難であった.USでは,AB領域にT=16×7×12mmの嚢胞内腫瘤を認め,境界明瞭平滑,内部不均一,Halo(-)前方境界線断裂(-)後方エコー増強,縦横比小,充実部のバスキュラリティ(++)エラストスコア4でカテゴリー4とした.
嚢胞内癌,嚢胞内乳頭腫を考え針生検を施行した
結果,乳管腺腫であった.
【まとめ】
3症例はいずれも超音波画像上,典型的な良性腫瘍とはいえず,浸潤性乳管癌や乳管内乳頭腫などとの鑑別が問題となった.針生検で硝子化結節,アポクリン化生,偽浸潤像などの組織像を認め,免疫染色で二相性が確認され,診断に至っている.超音波像のみでは
良悪性の鑑別は困難であり,カテゴリー3以上として見落とさないことが重要と考えた.