Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 乳腺(JABTS)
症例1

(S598)

乳腺リンパ腫の1男性例

Malignant lymphoma in a male breast

関 春菜, 本間 明子, 山口 梨沙, 藤沢 一哉, 本折 健, 志賀 淳治, 長沼 裕子, 石田 秀明

Haruna SEKI, Akiko HONMA, Risa YAMAGUCHI, Kazuya FUJISAWA, Ken MOTOORI, Junji SIGA, Hiroko NAGANUMA, Hideaki ISIDA

1津田沼中央総合病院検査科, 2津田沼中央総合病院放射線科, 3津田沼中央総合病院病理センター, 4市立横手病院消化器科, 5秋田赤十字病院超音波センター

1Department of Clinical Laboratory, Tsudanuma Central General Hospital, 2Department of Radiology, Tsudanuma Central General Hospital, 3Department of Pathology, Yokote Municipal Hospital, 4Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 5Depart of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【はじめに】
今回我々は,まれな男性の乳腺リンパ腫の1例を経験したので報告する.
【症例】
30歳男性.右乳頭直下に“しこり”を自覚し精査加療目的に当院受診.
【超音波検査所見】
超音波検査では,a)(Bモード)乳頭直下に38×32×16mm大の境界明瞭,輪郭整の孤立性結節を認めた.b)同病変は低エコー部が主体であるが高エコー領域も散在していた.c)後方エコーは増強し,外側音響陰影も認められた.d)(カラードプラ)病変周囲から内部に入り込む多数の血流も認められた.e)(造影超音波)造影剤注入直後から病変部全体が均一に濃染した.
【採血データ】
生化学データ上,異常所見はみられず.肝炎ウィルス(B,C)は陰性,各腫瘍マーカーも陰性であった.
【CT所見】
CTでは右乳頭直下に47mm径のmassがあり,石灰化巣はなし,比較的均一な造影効果を認めた.腋窩,鎖骨上窩,傍胸骨,縦隔に有意なリンパ節の腫大はなし.肺,肝,骨など遠隔転移を疑う異常は指摘できず.
【CNB所見】
CNB(core needle biopsy)では,高度異型細胞の浸潤が認められ,間質成分は乏しく腫瘍細胞の細胞質は乏しく,核形は不正で大小不同が目立ち,核小体は大型で1~数個認めた.特定の構造は認められず,増殖性の高い悪性腫瘍であった.免疫染色を施行した結果,上皮性マーカーであるサイトケラチン,CK7,CK20,非上皮性マーカーであるデスミン,内分泌顆粒を示唆するシナプトフィジン,ヒトゴナトロピンマーカーであるHCGは陰性であり,リンパ球マーカーであるLCAが陽性で,Bcell markerであるCD20,CD79aが陽性であったので,B細胞由来の悪性リンパ腫と診断された.
【病理所見】
病理では,肉眼的に境界が鮮明な腫瘍(5×4×3cm),組織的には被膜で囲まれた腫瘍で大型の核小体が目立つ悪性リンパ腫(diffuse large Bcell)であった.
【考察】
悪性リンパ腫は全身どの臓器からも発生しうるが,乳腺組織内にはリンパ組織が乏しいこともあり,原発性,転移性を問わずまれである.特に男性においては極めてまれと思われる.本例では,Bモード所見では,結論の至ることが困難であったが,造影超音波所見は,a)造影早期から多数の血管が偏位なく,b)病変全体が均一に濃染するという典型的な悪性リンパ腫の所見であり,診断に確信を持つことが可能であった.
現在,肝腫瘍と並びに乳腺腫瘍も造影超音波検査が保険適用となっている.本例の様に診断に苦慮する場合,造影超音波を加えることで診断の精度が向上するものと期待される.
なお.孤立性の悪性リンパ腫の治療は病変の摘出が基本とされている.造影超音波検査が患者診療に貢献できた症例であった.
【文献】
Domcheck SM,et al.Lymphoma og the breast:orimary and secondary
Involvement.Cancer 2002;94:6-13