Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 乳腺(JABTS)
造影超音波

(S596)

MRIで指摘された乳腺異常に対しsecond look US時に造影超音波検査を施行した3症例

Three cases with contrast enhanced ultrasonography at second look ultrasonography for mammary gland abnormal finding pointed out by MRI

吉田 芽以, 今吉 由美, 亀井 桂太郎

Mei YOSHIDA, Yumi IMAYOSHI, Keitarou KAMEI

1大垣市民病院医療技術部診療検査科, 2大垣市民病院外科

1Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Surgery, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
MRIにて指摘された乳腺異常に対してsecond look USを行い,造影超音波検査(CEUS)に至った症例を報告する.
【症例1】
40歳代女性.検診にて左乳房に腫瘤を指摘され精査目的に来院.MMGではL-U・I/Oに不整形腫瘤を認め,超音波検査(US)では左11時方向に境界明瞭粗ぞうで内部に点状高エコーを有する18mmの低エコー腫瘤があり浸潤性乳管癌を疑った.MRIでは12時方向に辺縁不整な腫瘤と,2時方向に濃染結節を認め,術式決定のためsecond look USとCEUSを施行した.second look USでは1時方向に多角形で境界明瞭粗造な9mmの低エコー腫瘤を認め,カラードプラでは内部の血流シグナルは乏しかった.造影を行うと腫瘤はBモードとほぼ同じ範囲が強くやや不均一に染影され,時間輝度曲線にて主腫瘤と類似の曲線を呈し娘結節が疑われた.この病変に対し超音波ガイド下マンモトーム生検(US下MMT)を施行,病理結果は浸潤性乳管癌であり,術式は乳房全摘術となった.
【症例2】
70歳代女性.1年ほど前から左乳房腫瘤を自覚し他院より紹介受診.MMGではL-U・Oにspiculaを伴う腫瘤を認め,USでは左1時半方向に不整形でhaloを伴う17mmの内部不均一な低エコー腫瘤があり浸潤性乳管癌を疑った.MRIにて主腫瘤とは別に,2時方向にも造影される小腫瘤を認めたため,second look USとCEUSを施行した.second look USでは3時方向に円形で境界明瞭平滑な4mmの低エコー腫瘤を認め,カラードプラでは内部の血流シグナルは乏しかった.造影を行うと腫瘤はB-modeと同じ範囲が一様に強く染影され速やかにwash outした.積算画像では腫瘤の染影輝度が周囲と同等~低輝度となり,良性病変を疑った.引き続きUS下MMTを施行,病理結果は乳腺症であった.術式は乳房部分切除術となり,最終病理診断にて切除断端は陰性であった.
【症例3】
70歳代女性.左乳房腫瘤を自覚し他院より紹介受診.MMGではL-L・Oに境界明瞭平滑な高濃度腫瘤を認め,乳頭側に隣接してFADも見られた.USでは左4時方向に12mmの分葉形で内部不均一な極低エコー腫瘤があり,腫瘤深部の境界が不明瞭で構築の乱れを伴っていた.カラードプラにて辺縁に拍動性の血流シグナルを認め浸潤性乳管癌を疑った.MRIでは左4時方向の不均一な濃染パターンを呈する不整形腫瘤と,腫瘤と乳頭の間に小腫瘤を認めたため,second look USとCEUSを施行した.second look USでは主腫瘤は円形で境界明瞭粗造,特に腫瘤乳頭側の境界が不明瞭で血流豊富であった.腫瘤内部には液面形成が認められ嚢胞内腫瘍を疑った.また4時方向の乳頭近傍に3mmの境界明瞭な淡い低エコー腫瘤を2ヶ認めた.造影を行うと2ヶの淡い低エコー腫瘤は染影されず娘結節は否定的と判断した.主腫瘤は,内部はほとんど造影されず腫瘤乳頭側の不明瞭な境界部が強く染影されたため嚢胞内癌を疑い,同部位より針生検を施行し病理結果は浸潤性乳管癌であった.CEUSで娘結節を否定できたため術式は乳房部分切除術となり,最終病理診断にて切除断端は陰性であった.
【まとめ】
乳癌症例においてsecond look USで指摘し得た病変に対し造影を行うことにより,例えB-modeで自信がもてないものでも,染影されることで,MRIで指摘された病変と同一であることが確認できる.確信を持ってUS下で穿刺を行うことができ,術式決定に有用である.