佐藤 恵美, 西田 睦, 工藤 悠輔, 表原 里実, 岩井 孝仁, 高杉 莉佳, 樋岡 拓馬, 坂野 稜典, 馬場 基, 山下 啓子

Megumi SATOH, Mutsumi NISHIDA, Yusuke KUDOU, Satomi OMOTEHARA, Takahito IWAI, Rika TAKASUGI, Takuma HIOKA, Ryosuke SAKANO, Motoi BABA, Hiroko YAMASHITA

¹北海道大学病院医療技術部放射線部門, ²北海道大学病院超音波センター, ³北海道大学病院検査・輸血部, ⁴北海道大学病院乳腺外科

¹Division of Medical Imaging and Technology Department of Radiology, Hokkaido University Hospital, ²Diagnostic Center for Sonography, Hokkaido University Hospital, ³Department of Clinical Laboratory and Transfusion, Hokkaido University Hospital, ⁴Department of Breast Surgery, Hokkaido University Hospital

キーワード :

【背景・目的】
閉経後乳癌に対しては乳房温存手術の施行を目的として術前内分泌療法を考慮してもよいとされている．造影超音波検査（CEUS）は，腫瘍内の血流評価に有用であり，さらに時間輝度曲線（TIC）解析を用いることにより客観的評価が可能となる．本研究では，CEUSによる閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対する術前内分泌療法における早期治療効果予測を視野にいれた腫瘍内血流変化を検討することを目的とした．
【対象・方法】
対象は2014年10月～2016年9月までに生検で乳癌と診断され，術前内分泌療法前と治療開始2週間後にCEUSを行い，治療開始1年経過後に外科的切除を施行した10症例10結節，年齢66.6±7.6歳，55～76歳（平均±SD，範囲）．治療開始前の腫瘍サイズは，最大径19.9±7.5mm，9.3～33.0 mm（平均±SD，範囲）．装置はTOSHIBA社製Aplio 500^TM，プローブはPLT-1005BT（中心周波数10.0MHz）．CEUSはソナゾイド^®を0.015mL/kg体重を投与し，造影剤投与開始後1分間の動画を撮像した．撮像条件は治療前と治療開始2週間後で同一条件で施行した．関心領域（ROI）を腫瘍全体に設定し，時間輝度曲線（TIC）を作成した．TIC解析ソフトIGR Curve Fitting softwareを用いたパラメータ解析にて，ピーク輝度（PI）を算出し，治療前，開始2週間後のPI変化率を評価に用いた．PI変化率は，低下（20％以上低下），不変（20％未満），上昇（20％以上上昇）の3パターンに分類した．腫瘍の組織学的治療効果はGrade2以上を奏効群，Grade1以下を非奏効群とした．PI変化率と治療後の組織学的治療効果判定を比較検討した．
【結果・考察】
PI変化率は，低下3結節，不変4結節，上昇3結節，組織学的治療効果は，奏効群3結節，非奏効群7結節であった．奏効群でのPI変化率は，低下2結節，上昇1結節，非奏効群でのPI変化率は，低下1結節，不変4結節，上昇2結節であった．CEUSでTIC解析を用いることにより，治療開始後早期に腫瘍内血流の変化を捉えることができた．
CEUSが治療効果予測に有用である可能性を含め，今後さらに症例を蓄積して検討する予定である．