Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 乳腺(JABTS)
造影超音波

(S594)

造影超音波における造影範囲の横径と乳癌広がり診断における病理学的横径との比較

The Diameters of Malignant Lesions on Ultrasound/Contrast-Enhanced Ultrasound vs. The Pathological Diameters of Lesions in Breast Cancer Patients

島 宏彰, 九冨 五郎, 里見 蕗乃, 前田 豪樹, 大久保 亜由美, 阿部 記代士, 湯山 友一, 長谷川 匡, 竹政 伊知朗

Hiroaki SHIMA, Goro KUTOMI, Fukino SATOMI, Hideki MAEDA, Ayumi OKUBO, Kiyoshi ABE, Yuichi YUYAMA, Tadashi HASEGAWA, Ichiro TAKEMASA

1札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科, 2札幌医科大学検査部, 3新札幌乳腺クリニック乳腺外科, 4札幌医科大学病理診断科

1Department of Surgery, Surgical Oncology and Science, Sapporo Medical University, 2Department of Laboratory Diagnosis, Sapporo Medical University, 3Breast Surgery, Shinsapporo Breast clinic, 4Department of Surgical Pathology, Sapporo Medical University

キーワード :

【背景】
造影超音波(CEUS)は乳がんの広がり診断において有用とされる.CEUSではUSで検出される腫瘤周囲にも造影効果を示すことがあり,この造影範囲は広がり診断において重要と考えられる.本研究ではCEUSの造影範囲と病理所見の最大横径に着目し検討した.
【方法】
2014/10から2016/10に術前広がり診断としてUS/CEUSを実施し,手術後の摘出標本から病理マッピングによる解析が可能であった51例を対象とした.US/CEUSの断面と病理の切り出し方向が明らかに異なる18例を除外し,33例を解析対象としてUSの腫瘤横径,CEUSの造影範囲の横径,病理マッピングにおける病変の横径(P)を測定した.内訳は組織型:非浸潤癌4例,浸潤癌25例,特殊型4例.T:T0 4例,T1 18例,T2 10例,T3 1例.術式:Bp 29例(断端陽性4例,陰性25例),Bt 4例.統計解析はJMP11にてMann-Whitney U testを用いた.
【結果】
US・CEUS横径それぞれ,中央値12.2(3.7-29.0)mm・15.4(4.7-32.4)mm,P横径中央値15.7(5.8-60.0)mmであった.CEUSはUSと比較して最大横径が有意に長かった(p=0.0003).CEUS-P(CEUSの造影範囲横径と病理マッピングの最大横径の差)は中央値1.3(-33.0-21.6)mm,US-Pは中央値-2.3(-36.0-8.0)mmであった.両者間には有意差は見られなかった(p=0.1455).
症例をCEUS-Pでソートして順にならべた「症例ごとの病変の横径」は図のようになる.US/CEUS横径よりP横径が長い症例は非浸潤部(in situ)が広範な傾向を示した.33例中マッピングでin situが評価されていたものは18例ありCEUS横径とP横径からCEUS>P群とCEUS<P群の2群に分類してin situの横径の比較を行った.CEUS>P群(10例)は中央値0(0-20)mm,CEUS<P群(8例)は中央値30.8(0-54.7)mmで有意にCEUS<P群でin situ横径が長かった(p=0.0070).
【まとめ】
少数例だが本研究はプレリミナリーなものとして実施した.CEUSの横径がUSの横径より長いこと,CEUSにて過小評価されうる病変としてin situ病変が挙げられることが示唆された.