Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 乳腺(JABTS)
症例検討

(S592)

硬化性腺症内非浸潤性乳管癌の検討-画像所見を中心に-

Examinatin of DCIS in sclerosing adenosis

安毛 直美, 兼近 典子, 新井 貴士, 武部 晃司

Naomi YASUMO, Noriko KANECHIKA, Takashi ARAI, Koji TAKEBE

1たけべ乳腺外科クリニック検査科, 2たけべ乳腺外科クリニック乳腺外科

1Clinical Laboratory, Takebe Breast Care Clinic, 2Breast Surgery, Takebe Breast Care Clinic

キーワード :

【はじめに】
画像所見と病理診断に乖離のある病変として硬化性病変(放射状瘢痕,硬化性腺症)に合併したDCISがあげられる.硬化性腺症内非浸潤性乳管癌(DCIS in sclerosing adenosis/DCIS in SA)は既存の硬化性腺症を置換するようにDCISが進展している病変で,組織診でも浸潤癌と見誤ることもある.今回,当院でのDCIS in SA症例を画像所見中心に検討を行った.
【対象】
2007年から2016年12月に術後組織診断にてDCIS in SAと診断した27病変(23人)を対象とした.
【結果】
全例女性,年齢は34歳から63歳(平均49歳).無自覚非触知21例,無自覚触知2例,有自覚触知が4例であった.同時両側乳癌4人(両側共DCIS in SAは2人,対側DCISが2人)異時両側乳癌4人(両側共DCIS in SAは2人,対側乳頭腺管癌2人)であった.MMG所見は所見なし11例,石灰化(C3:2例,C4:4例),構築の乱れ7例,石灰化+構築の乱れ2例,石灰化+FAD1例であった.超音波(US)所見は構築の乱れを伴う腫瘤6例,構築の乱れ9例,点状高エコーを伴う構築の乱れ5例,点状高エコー1例,脂肪類似小腫瘤6例であった.MMGでは所見なしも多く,石灰化はSclerosing adenosisに起因しているため,壊死性石灰化や明瞭な腫瘤像は認められなかった.USでは構築の乱れを示す症例が多く,病変が広範囲になると,USで強い構築の乱れを生じる症例や構築の乱れを伴う明瞭な腫瘤像を示す症例もあった.MMGに比べてUSの方が浸潤癌を疑う所見であった.術前診断は針生検3例,2例はDCIS,1例は他院からの紹介で,浸潤性乳管癌の診断であった.穿刺吸引細胞診は24例(良性1例,鑑別困難10例,悪性疑い3例,悪性10例)で,細胞診でも悪性の診断の推定病変は浸潤性乳管癌が多かった.17例はBpのみ,6例がセンチネルリンパ節生検,異時両側乳癌1例,同時両側乳癌の1人にリンパ郭清,1例は一期的再建術施行した.術後のintrinsic subtypeはluminal A-like14例,luminal B-like(HER2陰性,PgR20%以下)8例,luminal B-like(HER2陽性)3例,HER2陽性1例,Triple negativeが1例であった.
【結語】
DCIS in SAは両側性の症例が多い傾向にある.画像上,構築の乱れを伴うことから浸潤癌が疑われることが多い.この疾患の存在を念頭に置き,MMGやUSで明瞭な腫瘤像を伴わない構築の乱れをみた時,良悪性の鑑別を行うとともに,浸潤癌と過剰診断しないよう注意を払うことが大切である.