福井 佳与, 舛本 法生, 加納 昭子, 笹田 伸介, 恵美 純子, 角舎 学行, 岡田 守人, 城間 紀之, 有廣 光司, 横崎 典哉

Kayo FUKUI, Norio MASUMOTO, Akiko KANOU, Shinnsuke SASADA, Akiko EMI, Takayuki KADOYA, Morihito OKADA, Noriyuki SHIROMA, Kouji ARIHIRO, Michiya YOKOZAKI

¹広島大学病院診療支援部, ²広島大学病院乳腺外科, ³広島大学病院病理診断科, ⁴広島大学病院検査部

¹Medical Treatment Support Section, Hiroshima University Hospital, ²Surgical Oncology, Hiroshima University Hospital, ³Clinical Pathology, Hiroshima University Hospital, ⁴Clinical Laboratory Department, Hiroshima University Hospital

キーワード :

【はじめに】
浸潤性乳癌において腫瘍周囲の間質へのリンパ球浸潤を示す腫瘍浸潤性リンパ球tumor－infiltrating lymphocytes（TILs）は化学療法の効果予測因子や予後因子になりえる可能性があることから注目されている．前回TILsの超音波画像（US）と病理組織画像の対比を報告した．今回，さらに症例数を増やし腫瘍間質にリンパ球浸潤を認めた浸潤性乳癌のUSにおける画像的特徴について検討したので追加報告する．また，前回充実腺管癌が多かったことより，TILs（＋）TILs（－）症例（充実腺管癌）のTILs％によるUS画像の違いを対比検討したので報告する．
【対象と方法】
2013/11～2016/12に当院で浸潤性乳癌と診断されたTILs（＋）59症例（31～88歳：平均55歳）についてUS画像を評価・検討した．また，組織亜型充実腺管癌についてはTILs（－）15例を対象としてTILs％と画像の対比を検討した．
【結果】
TILs（＋）乳がん59例の組織型内訳は充実腺管癌31例（53％），硬癌22例（37％），乳管腺管癌6例（10％）で，サブタイプ内訳はluminal type27例（46％），HER2　type13例（22％），HER2－luminal type10例（17％），triple negative9例（15％）であった．
US画像は形状分葉形29例（49％），境界明瞭粗ぞう41例（69％），内部エコーレベル（低：49％　極低59％）で，特に後方エコー増強46例（78％）が特徴的であった．乳腺前方境界線断裂を40例（68％）で認めたが，境界部高エコー像は（＋）（－）はそれぞれ25例（42％），26例（44％）で差がなかった．またTILs（＋）充実腺管癌のTILs率は60～90％，平均71％であった．
【考察】
病理組織像でのTILs（＋）はUS画像において境界明瞭粗ぞう・境界部高エコー像が周囲リンパ球浸潤を反映していると考えられた．TILs（＋）乳癌はUS画像において一定の特徴があり，今後，TILsを示す腫瘍評価にUS画像が応用出来うる可能性が示された．