英文誌(2004-)
一般口演 乳腺(JABTS)
Her2陽性乳癌
(S590)
HER2シグナル比分布は超音波所見に影響するか?
Variability in HER2/CEP17 ratio distribution of breast carcinoma in contrast with US findings
梅本 剛
Takeshi UMEMOTO
つくば国際ブレストクリニック乳腺科
Dept. of Senology, Tsukuba International Breast Clinic
キーワード :
【背景】
HER2(human epidermal growth factor receptor type 2)は,乳癌治療における予後予測因子,抗HER2治療の効果予測因子である.FISH法にてHER2遺伝子増幅の有無を検討すると,症例により得られるHER2シグナル比(※)の分布に差異を認める.
【目的】
HER2シグナル比の分布の違いによる超音波所見の特徴を明らかにする.
【対象・方法】
2016年4月以降,当院にて「HER2遺伝子(FISH)検査」(SRL社)を用いて,HER2遺伝子増幅の有無を連続して検討した浸潤性乳癌47例を対象とした.HER2シグナル比の分布の指標として,ヒストグラムから標準偏差と変動係数を算出し,超音波所見とあわせて検討した.
【結果・考察】
HER2シグナル比の分布は,各サブタイプにより異なっていた.また同一サブタイプ内においても,HER2シグナル比の分布により,超音波所見も異なる傾向であった.これらの差異は,予後や治療効果における異質性(heterogeneity)にも関連し,臨床の場において,遺伝子不安定性(genomic instability)の指標として,活用できる可能性が考えられた.※HER2シグナル比:17番染色体のシグナルの総スポット数に対する,HER2シグナルの総スポット数の比のこと.