Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 乳腺(JABTS)
検診

(S587)

クリニックに於けるABUS導入1ヶ月間の運用経験の検討

Clinical experiences of ABUS for initial one month

三輪 博久

Hirohisa MIWA

湘南みわクリニック乳腺外科、内科

Breast Surgery, Shonan Miwa Clinic

キーワード :

【目的】
芸能人の乳癌事例から乳房痛を主訴にする患者が激増し,マンモグラフィ(以下MG)に加えて用手超音波検査(以下HHUS)を行うが,全例に見落としなく「病変がない」と診断する緊張感緩和を目的に,スクリーニング乳腺超音波検査機器としてAutomated Breast Ultrasound(以下ABUS)を導入した.今回はABUSのスクリーニング検査としての有用性を検討した.
【対象】
乳腺を主にプライマリケア診療を行う常勤医師1名,非常勤女性診療放射線技師複数,生理検査技師配置なく,医師がHHUSを実施するクリニックで,ABUS導入2016年9月16日から10月15日までの初頭1ヶ月間にABUSを実施した134例を対象に検討した.
【方法】
ABUSはMGと同室に設置され,技師がABUS単独またはMGに引き続きABUS検査を実施した.その後医師が診察室で,視触診及びABUSやMGの読影と説明を行い,必要時にHHUSと穿刺吸引細胞診検査を同一日に実施した.ABUS読影は,明度コントラストを調整し,C-view(Coronal view冠状断像)を中心に適宜T-View(Transverse view横断像)を追加し,関心部位の画像の拡大や回転操作を追加読影し,JABTS乳腺超音波診断ガイドラインのカテゴリ分類下に診療方針を決定した.
【結論】
134例の年齢は21~69歳(平均42.1歳)で,ABUSのスキャン回数は6回が110例(82.1%)で最多,4回が1例,7回が7例,8回が11例だった.穿刺吸引細胞診,針生検等病理検査の実施は18例(13.4%),癌確定は5例(3.7%)だった.自治体乳がん健診又は任意健診としての自費診療は20例(14.9%)で,カテゴリ(以下C)3以上の有所見者は0例,一方保険診療対象者は114例で,C3以上の有所見者は11例(9.6%)だった.癌確定の5例では5例ともC4またはC5の有所見者だった.以上よりABUS134例でC3以上の有所見者11例,うち乳癌5例だったので,ABUSのスクリーニング検査の効果指標は,感度100%,特異度95.3%,陽性反応適中度45.5%,陰性反応適中度100%であり,スクリーニング検査として有用と判断された.
【考察】
ABUSはC-viewで小乳癌の構築の乱れを容易に検出できる画期的な超音波検査機器であり,乳腺クリニックにおけるスクリーニング検査として十分な有用性があり,技師撮像と医師読影の完全分業が可能である.今回C1C2に分類された5mm以下の病変全例で,乳癌が否定されているわけではないので,今後経過観察を継続し,長期的にスクリーニング検査の効果指標を評価してゆきたい.